うつ病の症状とは?心身に現れる意外なサイン
毎日がつらくて、どうしてもやる気が出ない。疲れも酷いし、生活のリズムが崩れているから心配。うつ病なのかな?
うつ病は、心と体のバランスが崩れ、生活に支障をきたすほどの抑うつ状態が続く病気です。
この記事では、「うつ病の症状」を私自身の体験をもとに分かりやすく解説します。
うつ病の症状に関する知識を持っていれば、予防対策に講じることができるようになるだけでなく、病院へ行くかどうか適切に判断することも可能になります。
自分自身や誰かを助けたい方は、ぜひこの記事を参考にして、うつ病から心身の健康を守る第一歩を踏み出しましょう!
うつ病とは何か?
気分がひどく落ち込んで憂うつになる、何をするにもやる気が出ないといった精神的な症状に加えて、眠れなくなったり、疲れやすくなったり、体がだるく感じたりする身体的な不調が現れるなど、普段の生活が非常につらくなってしまう病気です。
ちなみに、厚生労働省のホームページでは
うつ病は、脳内の神経伝達物質「セロトニン」「ノルアドレナリン」が減ってしまう病気だと考えられています。これらの神経伝達物質は精神を安定させたり、やる気を起こさせたりするものなので、減少すると無気力で憂うつな状態になってしまいます。
ですから、うつ病は決して怠けているわけでも、気の持ちようで何とかなるものでもありません。しかも、うつ病は日本人の約15人に1人が一生のうちにかかるという非常にありふれた病気です。早めに適切な治療を受けることが必要です。
と解説されています。
単なる一時的な「気分が落ち込み」や「疲れ」とは違い、抑うつ状態(強い悲しみや絶望感、気力の低下など)が1〜2週間以上続き、徐々に日常の活動や楽しさを感じることが困難になって生活に大きな支障をきたします。
また、眠れない、だるい、食べられないといった症状も現れるのが特徴です。
うつ病は誰にでも起こり得るものです。
脳内の神経伝達物質のバランスが崩れ、感情やエネルギーの調整が上手くいかなくなるために、心身に不調が現れてしまうのです。
以下は、うつ病の原因として誤解されてしまうことがあります。
周囲のうつ病に関する誤解が解けて、正しい知識と理解が広まってくれることを心から願っています!
うつ病は、精神と身体の両方に様々な形で影響が現れる病気であり、その症状には個人差があります。
ある人にとっては悲しみが強く出る一方で、別の人は身体の症状が目立つこともあります。
また、同じ人でも、ある時期には感情面の症状が強く、別の時期には行動や思考への影響が顕著になることもあります。
うつ病によって精神面に現れる症状
うつ病によって現れる、主な9つの精神的症状について紹介します。
- 持続的な気分の落ち込み
- どうしようもない不安
- 焦燥感
- 興味や喜びの減退
- 集中力や思考力、記憶力、判断力の低下
- 自己評価の低下
- 反芻思考
- 絶望感や無力
- 死や自殺についての考え(希死念慮)
①持続的な気分の落ち込み
持続的な気分の落ち込みとは、単なる一時的な悲しみや疲れではなく、何日も、時には何週間も続く深い憂うつな気分のことです。
この状態では、普段楽しいと感じていたことが楽しめず、気力が湧かなくなります。
例えば、「朝起きるのがつらい」「何をしても喜びを感じない」といった感覚が続きます。
②どうしようもない不安
どうしようもない不安とは、理由がはっきりしないのに心がざわつき、悪いことが起こりそうな予感に支配されてしまうことです。
頭では「考えすぎかも」と分かっていても、気持ちがついていかないことが特徴です。
この状態では、何をしても安心できず、集中力が低下し、体にも影響が現れることがあります。
例えば、「胸が締めつけられる」「眠れないほど不安になる」「何か大切なことを忘れている気がする」などの症状です。
③焦燥感(イライラ感)
焦燥感(イライラ感)とは、理由もなく心が落ち着かず、何かしなければいけない気がするのに、何をしても満たされない感覚のことです。
この状態では、頭の中が不安や焦りでいっぱいになり、体もソワソワして落ち着かなくなります。
例えば、「理由もなくイライラする」「何かを始めても集中できず、すぐに止めてしまう」「手足をずっと動かしてしまう」といった行動が現れます。
④興味や喜びの減退
興味や喜びの減退とは、以前は楽しいと感じていたことに対して、興味を失い、喜びを感じなくなる状態のことです。
この状態では、趣味や好きだった活動をする気力が湧かず、誰かと話したり外出したりすることさえ億劫になります。
例えば、「映画や音楽を楽しめなくなる」「友人と会うのが面倒に感じる」「大好きだった食べ物に興味を失う」などの変化が見られます。
⑤集中力や思考力、記憶力、判断力の低下
集中力や思考力、記憶力、判断力の低下とは、頭がうまく働かず、日常の簡単な作業や決断が困難になる状態のことです。
これらの機能が全体的に低下し、普段は簡単にできていたことが苦痛に感じられます。
この状態では、物事に集中できず、話を聞いていても内容が頭に入らなかったり、短期的な記憶が曖昧になったりします。
例えば、「買い物のリストを忘れる」「簡単な計算ができなくなる」「どちらを選ぶべきか決められない」といったことが起こります。
⑥自己評価の低下
自己評価の低下とは、自分に対して「周囲と比べて劣っている」「役に立たない」と感じてしまう状態のことです。
自己肯定感(自分を認める力)が極端に下がり、自分自身を正しく評価できなくなります。
この状態では、「自分は周りに迷惑をかけている」「何をやっても失敗する」といった思考にとらわれやすくなります。
例えば、仕事で成果を出しても「運が良かっただけ」と感じたり、小さなミスで「自分はダメな人間だ」と思い込むことがあります。
⑦反芻思考
反芻思考(はんすうしこう)とは、過去の失敗や嫌な出来事を繰り返し考え続けてしまう状態のことです。
終わったことなのに頭から離れず、自分を責める思考がぐるぐると続きます。
この状態では、「あの時もっと頑張ればよかった」「どうしてあんなことをしてしまったんだろう」といった考えが止まらず、時間が経つほど気持ちが重くなります。
例えば、些細なミスを必要以上に引きずったり、解決できない問題を何度も思い返してしまうことがあります。
⑧絶望感や無力感
絶望感や無力感とは、「この先、何をしても良くならない」「自分には何の力もない」と感じる状態のことです。
現状や未来について悲観的になり、自分自身の存在に価値を感じられなくなります。
この状態では、どんなに励まされても「どうせ無理だ」と考え、行動を起こす気力を失ってしまいます。
例えば、「何をやっても意味がない」「誰にも助けてもらえない」といった思いにとらわれやすくなります。
⑨死や自殺についての考え(希死念慮)
希死念慮とは、生きることが苦しくなり、「死んだ方が楽になれるのではないか?」と考える深刻な状態のことです。
この状態では、実際には死を望んでいるわけではないにも関わらず、「自分なんていない方がいい」「消えてしまいたい」といった考えが頭から離れなくなります。
例えば、「電車に飛び降りたらどうなるのだろう?」「高いところから落ちたら苦しみから解放されるかもしれない」といった、自らの命を絶つことについてのイメージが膨らんでしまいます。
うつ病によって身体面に現れる症状
うつ病によって現れる、主な7つの身体的症状について紹介します。
- 疲労感や倦怠感
- 睡眠障害
- 食欲や体重の変化
- 痛みや体調不良
- 動作の鈍化
- 感覚過敏
- 性欲の減退
①疲労感や倦怠感
疲労感や倦怠感とは、しっかり休んでも体や心の疲れが取れず、「常にだるい」「何もする気が起きない」と感じる状態のことです。
この状態では、軽い家事や仕事でさえ負担に感じ、ベッドや布団から起き上がるのも難しくなることがあります。
例えば、「何時間寝ても疲れが残る」「体が鉛のように重い」といった、心と体が両方ともエネルギーを失ったように感覚が続きます。
②睡眠障害
睡眠障害とは、眠れない、眠りが浅い、逆に眠りすぎるといった問題のことです。
心と体のリズムが乱れることで、疲れが取れず、日常生活に影響を与えます。
この状態では、夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」や、朝早く目覚めてしまう「早朝覚醒」がよく見られます。
逆に、どれだけ寝ても眠気が取れない「過眠」が起こることもあります。
③食欲や体重の変化
食欲や体重の変化とは、食欲が極端に減ったり、逆に異常に増えたりする状態のことです。
この状態では、食事の時間になっても何も食べたくなくなったり、逆にストレスから過剰に食べてしまうことがあります。
結果として、体重が急激に減ったり増えたりすることが特徴です。
④痛みや体調不良
痛みや体調不良とは、原因がはっきりしない痛みを引き起こし、体に不調が現れる状態のことです。
具体的には、頭痛や肩こり、腰痛、腹痛、口の中の違和感、手の震え、手足のしびれ、胃の不快感、めまい、吐き気、動悸、下痢、便秘、息苦しさ、過呼吸などの様々な症状が見られます。
この状態では、医療機関で検査を受けても異常が発見されず、「気のせい」と思われてしまうことがあります。
⑤動作の鈍化
動作の鈍化とは、体の動きや反応が遅くなり、普段通りに動くのが難しくなる状態のことです。
心と体のエネルギーが低下し、何をするにも時間がかかるようになります。
この状態では、歩くスピードが遅くなったり、話すテンポが遅くなったりします。
例えば、「食事に時間がかかる」「考えるのに普段以上に時間が必要」といったことが見られます。
⑥感覚過敏
感覚過敏とは、音や光、匂い、触感などの刺激に対して通常よりも過剰に反応してしまう状態のことです。
普段は気にならないような刺激が、強い不快感やストレスを引き起こします。
この状態では、「時計の秒針の音がうるさく感じる」「少しの光でも眩しくて目を開けられない」「柔らかい服でも肌にチクチク感じる」といった反応が現れることがあります。
⑦性欲の減退
性欲の減退とは、性的な興味や欲求が著しく低下する状態のことです。
心身のエネルギーが減少することで、性に関する関心や楽しみが薄れてしまいます。
この状態では、「性的なことに興味が持てない」「パートナーと親密な時間を過ごすのが億劫になる」といった変化が見られます。
日内変動という症状の特徴
うつ病は、精神的な症状と身体的な症状が同時に現れることが多いです。
また、午前中(特に朝方)の調子が一番悪く、午後から夕方にかけて改善してくるなど、日動変動が起きます。
一日の中で気分や体調の波があり、特に朝方に症状が強く出る現象のこと
朝なかなか起きられず仕事や学校を休んだものの、午後からは体調が良くなってくるなど、周囲からはサボっているように見えてしまうかもしれません。
しかし、決して本人は怠けているわけではなく、非常に苦しんでいるのです。
体調の変動が激しいため、家族や友人職場での人間関係においても誤解や無理解を生みやすく、孤独感が強まることがあります。
こうしたパターンが繰り返されることで、「明日になるのが怖い」「また急に体調が悪くなったらどうしよう?」という思いが強まり、症状を悪化させる原因にもなります。
まとめ
今回は、うつ病の症状について解説しました。
うつ病は心と体に深刻な影響を与える病気で、誰にでも起こり得る。
精神的な症状(気分の落ち込み、反芻思考など)と身体的な症状(疲労感や倦怠感、睡眠障害など)が現れる。
症状には日内変動のような特徴が見られる。
うつ病の症状を知ることで、適切な治療を受けるきっかけを作ることができます。
この記事で紹介した症状に悩んでいる場合は、一人で抱え込まず、信頼できる人や専門家に相談しましょう!