学級経営

命を守る避難訓練の作り方!小学校で実践できる指導ポイント5選

命を守る避難訓練の作り方!小学校で実践できる指導ポイント5選
夢人

どうも、夢人です。

日本では地震などの災害が多いですが、「子どもたちが避難訓練に集中してくれない」「いざという時にちゃんと動けるか不安」とお悩みではないでしょうか?

避難訓練は子どもたちの命を守るために最も重要な活動ですが、災害の恐ろしさを実感したことのない小学生にとって、「なぜこんな訓練をするのか?」を自分事として捉えるのは非常に難しいものです。

今回の記事では、子どもたちの防災意識を高め、災害時に自ら命を守る行動ができるようになる避難訓練の目的とその流れ、明日から実践できる5つの指導ポイントをわかりやすく解説します。

夢人
夢人

この記事は以下のような人におすすめ!

  • 子どもたちに災害の怖さや避難の大切さを伝えたい
  • 子どもたちに自分の命を守れる力を身につけさせたい
  • 素早く並んで、黙って静かに避難できるようにしたい

この記事を読めば、避難訓練の本来の目的や効果的な流れがわかり、子どもたちが自ら考えて安全に行動できる学級づくりができるようになります!

命を守る避難訓練とは何か?

命を守る避難訓練とは何か?

避難訓練というと、定期的に行われる恒例行事として、つい「マニュアル通りに動かすこと」が目的になっていませんか。

一部の先生からは「また避難訓練か、授業の時間が削られるな」という本音も聞こえてきそうですが、いざという時に子どもたちの命を救うのは、この避難訓練の積み重ねに他なりません。

ここでは、小学校における避難訓練の定義と、学校教育の中でどのような意味を持っているのかを改めて確認していきましょう。

避難訓練の定義と位置づけ

平成25年3月に公布された「東京都教育委員会の避難訓練の手引」によると、避難訓練の定義について次のように示されています。

地震、風水害、火山噴火などの自然災害や火災などの災害に備え、各学校で定期的に行われる安全指導の一つで、特別活動の〔学校行事〕の「健康安全・体育的行事」に位置付けられている。

都内の公立学校においては、幼稚園・小・中学校・特別支援学校では、年11回、高等学校では、年4回以上の避難訓練を実施しており、他の防災教育と連携して、計画的に実施することが重要である。

つまり、避難訓練とは、地震や火災、津波などの災害が起きたときに、命を守るために安全な場所に避難する方法を全体で練習する学校行事です。

この行事を通して、子どもたちは集団の中でどう動くべきかを学びます。

夢人
夢人

避難訓練は、授業中に実施されることが多いけれど、「授業時間」ではなく、「学校行事の時間」として時数がカウントされるんだよ。

ラズリ
ラズリ

学校行事と言えば、運動会や音楽会、遠足、社会科見学などがあるけど、避難訓練も行事時間として扱われるんだね。

子どもたちに伝えたい避難訓練の6つの目的

子どもたちに伝えたい避難訓練の6つの目的

「先生、どうして避難訓練なんてやるの?」「めんどくさいな」と、子どもたちから言われた経験はありませんか。

災害の恐ろしさを肌で感じたことがない小学生にとって、避難訓練の必要性を理解するのは想像以上に難しいものですが、避難訓練の目的を納得感をもって伝えることは、担任の重要な役割です。

ここでは、子どもたちにぜひ語りかけてほしい避難訓練の6つの目的をお伝えします。

目的1:命を守るため

避難訓練の最大の目的は、何よりもまず「命を守るため」であり、これはどんなに時代が変わっても揺るがない大前提です。

災害は予測不可能であり、地震や火災、あるいは不審者の侵入など、学校生活には様々な危険が潜んでいます。

子どもたちには、「みんなの命は一つしかないこと」「先生にとってみんなの命が一番大切であること」を真っ直ぐに伝えてください。

いざという時に「どこに逃げれば安全か?」「どうやって身を守るか?」を知っているかどうかが、生死を分ける分かれ道になります。

だからこそ、「避難訓練は命を守るための特別な授業なんだよ」と語りかけることで、訓練に臨む子どもたちの目の色が確実に変わります。

目的2:落ち着いて行動する力を育てるため

災害が発生した瞬間、人は大人であっても恐怖でパニックになりがちです。

ましてや小学生であれば、突然の大きな揺れやサイレンの音に驚き、泣き出したり、パニックで走り出したりしてしまうのは当然の反応と言えます。

しかし、パニックになって慌てて行動すると、割れた窓ガラスを踏んでしまったり、階段で転んで将棋倒しになったりといった二次災害の危険性が一気に高まります。

火災の場合も、焦って走ることで余計に煙を吸い込んでしまうリスクがあります。

避難訓練を繰り返すのは、「怖い」という感情をコントロールし、落ち着いて冷静に行動する力を育てるためです。

「訓練でできないことは、本番では絶対にできない」ということを伝え、深呼吸をしてから動くなどの具体的なルーティンを身につけさせましょう。

目的3:正しい避難方法を身につけるようにするため

災害の種類によって、身の守り方や避難の仕方は全く異なります。

これを頭で理解するだけでなく、体が勝手に動くレベルまで落とし込むことが避難訓練の重要な目的です。

  • 地震の避難…落ちてくるもの、倒れてくるものから離れ、机の下に入って頭を守る。
  • 火災の避難…有毒な煙を吸わないように、姿勢を低くしてハンカチで口と鼻を覆う。
  • 津波の場合…とにかく高い場所へ急いで移動する。

これらは、いざという時に考えてから行動したのでは遅すぎます。

日々の訓練の中で実際に体を動かし、正しい姿勢や動きを「体で覚える」ことが、瞬時の危険回避へとつながっていくのです。

目的4:仲間と協力して避難する力を育てるため

学校での避難は、自分一人だけが助かればいいというものではありません。

何百人という子どもたちが一斉に避難する場では、集団のルールを守り、お互いに協力し合うことが不可欠です。

避難中に前の子を押してしまえば、大きな事故につながります。

また、転んでしまった友達に声をかけたり、ペースを合わせたりすることも集団避難においては大切です。

自分勝手な行動が全体の命を危険にさらすことを、訓練を通じて学ばせる必要があります。

目的5:実際の災害を想定した準備ができるようにするため

避難訓練は、本番のためのリハーサルです。災害は晴れた日の授業中という都合の良いタイミングで起こるとは限りません。

雨の日もあれば、体育館にいる時、あるいは登下校中ということもあります。

そのため、学校現場では様々な状況を想定した訓練が計画されています。

授業中だけでなく、休み時間や掃除の時間、階段が一部使えない設定、先生が怪我をして指示が出せない設定など、あえてイレギュラーな状況を作ることで、より実践的な準備ができます。

注意!

給食中の避難訓練は、食器が割れたり熱いスープで火傷をしたりするリスクが伴うため、安全面を最優先に考慮して実施タイミングを決定しなければなりません。

また、実施予定の時間帯に理科の授業で火を扱う実験がある場合は、思わぬ事故を防ぐためにも、実験の時間を別のコマに移動させるといった事前の調整も必要になります。

目的6:自ら命を守る意識を育てるため

避難訓練の最終的なゴールは、子どもたち自身が「先生の指示がなくても、自分の命を自分で守れるようになる」ことです。これを「自助」の力と呼びます。

大人が常にそばにいて「机の下に入りなさい」「こっちに逃げなさい」と指示を出せる状況ばかりではありません。

周囲の状況を見て、何が危険かを察知し、自ら考えて安全な行動を選択できる力を育てることが、防災教育の核心です。

毎日の生活の中でハンカチを必ずポケットに入れることや、教室のどこに危険な場所や非常口があるかを見つける活動なども、この意識を育てる一環です。

4つの災害の恐ろしさ

「避難訓練は大事だよ」と何度言葉で伝えても、子どもたちにピンとこないのは、災害の本当の恐ろしさを知らないからです。

先生自身も、過度に怖がらせることは避けたいと思うあまり、つい具体的な危険性について語るのを避けてしまうことはありませんか。

しかし、正しく恐れることこそが、真剣な訓練態度を生み出します。

ここでは、訓練の事前指導で子どもたちに分かりやすく、かつ具体的に伝えたい4つの災害の恐ろしさについて整理します。

煙が視界と呼吸を奪う火災の恐ろしさ

煙が視界と呼吸を奪う火災の恐ろしさ
火災

火災とは、本来は望まれていない火や爆発が起こり、それが広がってしまう現象のことで、炎そのもの以上に恐ろしいのが「」です。

火災による犠牲者の多くは、炎に焼かれたことではなく、煙による一酸化炭素中毒や窒息が原因だと言われています。

子どもたちには、煙の中には有毒ガスが含まれており、数回吸い込んだだけで意識を失って動けなくなる危険があることをしっかり伝えましょう。

また、煙はあっという間に上へ上へと広がり、教室や廊下の視界を真っ暗にしてしまいます。

だからこそ、「なぜハンカチで口を覆うのか?」「なぜ低い姿勢で逃げなければならないのか?」という避難行動の理由が明確になります。

夢人
夢人

煙の怖さを理解すれば、ハンカチを学校に持ってこなかったり、避難中にふざけてハンカチで遊んだりする子どもの姿はなくなるはずです。

落下物や建物の倒壊を伴う地震の恐ろしさ

落下物や建物の倒壊を伴う地震の恐ろしさ
地震

地震とは、地下にある大きな岩のかたまり(岩盤)が、強い力で押されたり引っぱられたりして、ある瞬間にズレ動くことで起きる現象のことです。

地震の恐ろしさは、突然足元が激しく揺れ、立っていることすらできなくなることに加え、私たちの頭上や周囲から様々なものが降ってくることです。

教室であれば、蛍光灯、窓ガラス、掲示物を貼った黒板、時には天井のパネルが落ちてくるかもしれません。本棚やテレビなどの重い家具が倒れることもあります。

揺れを感じたら即座に「落ちてこない、倒れてこない、移動してこない」安全な場所を見つけて身を隠すという行動は、この無数の危険から頭や体を守るための、文字通り命がけのアクションであることを伝えましょう。

想像以上のスピードで迫る津波や水害の恐ろしさ

想像以上のスピードで迫る津波や水害の恐ろしさ
津波

津波とは、海の中で地震が起きたときに、海底の地形が急に変化することで海水全体が大きく動き、その影響が波となって周囲に広がっていく現象のことです。

水害

水害とは、大雨や台風などによる大量の雨が原因で発生する災害のことです。

津波や水害の恐ろしさは、その破壊力と、想像を絶するスピードにあります。特に津波は、地震の後にやってくる二次災害として、東日本大震災でも多くの命を奪いました。

子どもたちには、津波はオリンピックの短距離選手と同じくらいのスピード(時速約36km)で陸地に押し寄せてくるため、見えてから逃げたのでは絶対に間に合わないことを伝えましょう。

また、川の氾濫などの水害でも、膝の高さ(約50cm)まで水が来ると、大人でも水圧で歩けなくなってしまいます。

「水は見た目よりもずっと早く、強く、深くやってくる」という事実を教えることで、早め早めの避難(高台への移動など)がいかに大切かを理解させることができます。

強風と大雨をもたらす台風の恐ろしさ

強風と大雨をもたらす台風の恐ろしさ
台風

台風とは、熱帯の海の上で発生した強い低気圧のうち、特に風が非常に強くなったものです。具体的には、北西太平洋や南シナ海で発生する「熱帯低気圧」のうち、中心付近の最大風速が毎秒17メートル(風力8)以上に達したものが「台風」と呼ばれます。

学校にいる時だけでなく、特に登下校中の子どもたちにとって非常に大きな脅威となります。

強風によって看板や屋根瓦が飛んできたり、大雨によって普段歩いている通学路の側溝や川が溢れ、道と川の境目が分からなくなったりする危険があります。

「傘をさしていても風で飛ばされたり、煽られて車道に飛び出してしまったりするかもしれない」という身近なリスクを考えさせましょう。

台風が近づいている時は、不用意に外に出ないこと、そして川や用水路の様子を絶対に見に行かないことを指導することが、子どもたちの命を守る直結の対策となります。

ポイント

小学校では、台風の接近が予想される場合、教育委員会と連携しながら「前日のうちに休校を決める」「下校時刻を早める」「当日の早朝にメール配信で知らせる」などの判断を迅速に行い、子どもたちの安全を最優先に考えた対応をとっています。

実際の避難訓練7つの流れ

実際の避難訓練7つの流れ

避難訓練のすべてのステップには、確実に命を守るための計算された意味があります。

ここでは、一般的な小学校で実施される避難訓練の7つの流れについて、各ステップで先生がどう動き、子どもたちに何を意識させるべきかという具体的なポイントを解説します。

緊急放送が流れる

避難訓練の始まりは、校内に響き渡る緊急放送サイレンの音からです。

  • 訓練、訓練。地震が発生しました。
  • 緊急地震速報です。10、9、8・・・0
  • 火事です。家庭科室から出火しました。
  • 津波警報が発令されました。

このような職員室から流されたアナウンスが、校長先生や教頭先生(副校長先生)の声で学校中に響き渡ります。

この放送をきっかけに、子どもたちは一斉に訓練行動へと移ります。

  • 事前予告あり…事前に日時や内容を知らせる避難訓練
  • 事前予告なし…抜き打ちの避難訓練

事前予告なし(抜き打ち)の避難訓練については、実際の災害が突然やってくることを想定し、本番に近い緊張感を持たせるための取り組みです。

放送が流れた瞬間、先生も子どもたちも日常のモードから「緊急事態のモード」へと瞬時に切り替える必要があります。

「どこで火事が発生したのか?」「地震の規模はどのくらいか?」「今からどういう指示が出るのか?」を聞き漏らさないことが、次の行動を決定する命綱です。

ポイント

初めての訓練や、特に低学年の子どもたちには不安や混乱が生じないよう、あらかじめ避難行動の目的を説明したり、流れを練習しておく配慮も必要です。

注意!

抜き打ちの避難訓練を実施する際に、パニックを起こしてしまう可能性のある配慮が必要な子どもが学級にいる場合は、その子にはあらかじめ訓練の実施を伝えるなど、個別に配慮した対応を取ることが大切です。

身の安全を確保する

緊急放送の直後、子どもたちは災害の種類に応じた“身の守り方”を実行します。

  • 地震の場合…机の下に入り、机の脚を対角線にしっかり握って、揺れが収まるのを待つ。 ※窓ガラスの飛散防止のため、先生はカーテンを閉める。
  • 火災の場合…防災頭巾をかぶる・ハンカチを口と鼻にあてる。
  • 水害の場合…すぐに高台や校舎の高層階へ移動できるように準備をする(指示があるまで待機)。
ポイント

※防災頭巾をかぶってから机の下に入るというマニュアルもありますが、地震発生の直後に防災頭巾を素早く取り出して身につけるのが難しい場合もあります。

そのようなときは、無理に装着しようとせず、まずは机の下に入って身の安全を確保することが最優先です。

こうした行動は、子どもたちが「毎年の訓練の積み重ね」で自然と身につけていく力でもあります。

地震・火災・水害など、それぞれの災害ごとに、その場に応じた正しい身の守り方を理屈ではなく“体で覚えること”が、命を守るためには欠かせません。

避難場所へ整列・移動する

身の安全を確保したら、次に行うのは指定された避難場所への移動です。

子どもたちは声を一切出さずに整列し、先生は全員が防災頭巾を被ったり、ハンカチで鼻や口を覆っていたりしていることを確認したら、集合場所へ移動します。

基本的に校庭など決められた場所に集合しますが、出火場所や煙の流れ、建物の状況によっては避難ルートを変更したり、校外の避難場所(近くの公園や神社など)に向かうこともあります。

水害を想定する場合は、校庭に避難するとかえって危険が増す可能性があるため、屋上や高台などのより安全な場所への避難を想定した訓練を行うこともあります。

また、「中央階段が使用できない」「理科室前の廊下が通れない」という設定で、特定の通路や階段のみを使って避難する計画が立てられることもあります。

このように、非常時に備えて複数のルートや状況を想定して訓練することはとても重要です。

安否確認を行う

避難場所に学級全員が到着したら、次に行うのは安否確認(点呼)です。

学級ごとに整列し、「2、4、6、8…」と偶数で数えながら、隣の子と位置を揃えて人数を数えます。

先生は、名簿(出席簿)を活用して人数や安否を確認し、その結果を本部へ報告します。

夢人
夢人

◯年◯組、在籍◯名、欠席◯名、現員◯名、異常ありません。

避難中にけがをした子どもや、行方が分からない子どもがいないかを、数秒以内に正確に確認できるかどうかは、命を左右する場合もあります。

そのため、この「人数確認をどれだけ迅速かつ正確に行えるか?」が、避難訓練における大きなカギとなります。

校長先生や避難訓練担当の先生からの話を聞く

点呼が完了し、全体が落ち着いたところで、校長先生や避難訓練担当の先生からの講話があります。

この時間は、単なる“締めくくり”ではなく、今日の訓練を深く理解するための“学びの時間”です。

「避難にかかった時間は◯分◯秒でした」と具体的な時間を発表したり、「今回の訓練で、放送や先生の指示をしっかり聞いて行動できましたか?」と子どもたちに問いかけたりすることで、訓練のふり返りを促します。

また、必要に応じて「もっと注意が必要な点」についてわかりやすく伝えることで、次回への意識づけにもつながります。

教室など元にいた場所に戻る

避難訓練が終わると、先生の指示で再び整列し、落ち着いて教室など元いた場所へ戻ります

この時も、「訓練が終わったから」と安心して、おしゃべりを始めたり走ったりするのではなく、慌てず静かに行動する姿勢を保つことが大切です。

実際の災害を想定して、上ばきのまま外へ避難するため、上ばきの靴底が土や泥で汚れてしまうことがあります。

そのため、校舎に戻る際には、「靴ふきマット」や濡れ雑巾などを使ってしっかりと汚れを落としてから、校舎に入るようにします。

ポイント

避難訓練の実施計画は「教室に戻るまで」で終わっていることがほとんどですが、担任としては教室に戻った後のフィードバックの時間が非常に重要になります。

良かった点や改善すべき点を質問して子どもたち自身から意見を引き出したり、先生からの気づきを伝えたりすることで、訓練の目的をより深く定着させることができます。

引き渡し訓練の場合:保護者に引き渡す

大規模な地震や特別警報の発令など、子どもたちだけでの下校が危険と判断される場合を想定し、「引き渡し訓練」を兼ねて行われることもあります。

引き渡し訓練がある場合、保護者にはプリントやメール配信などで訓練の日時・目的・方法を事前に知らせます。

また、「引き渡しカード」などの提出を求め、誰が迎えに来るのかを担任は把握しておきます。

保護者が学校(校庭や体育館、教室など)に迎えに来ます。

担任は、事前に提出されている「引き渡しカード(引き渡し名簿)」と、実際に迎えに来た保護者の顔や保護者の名札を照合し、絶対に間違いのないように一人ひとり確実に引き渡していきます。

引き渡しの終了後は、管理職に報告します。

指定時刻までに引き渡しが完了しなかった子どもたちを一箇所に集め、その場で下校したり、自宅の近くまで送り届けたり、学童クラブの先生に引き渡したりします。

注意!

実際の災害発生時に、児童を単独で下校させることは絶対にありません。

また、引き渡し訓練において予定していた保護者が迎えに来ないイレギュラーが発生した場合は、学校から電話で状況確認を行うケースもあります。

いかなる状況下でも、保護者へ確実に引き渡すまで、学校が責任を持って児童の安全を確保します。

この流れと意味を先生自身が再確認し、子どもたちに言語化して伝えることで、いつもの訓練が驚くほど引き締まったものに変わります。

防災意識を育てる5つの避難訓練の指導ポイント

防災意識を育てる5つの避難訓練の指導ポイント

学校行事として年に数回行われる避難訓練だけでは、児童の主体的な防災意識を定着させるには不十分です。

いざという時に命を守る行動をとらせるためには、日々の学級経営や担任の指導を通じたアプローチが欠かせません。

ここでは、子どもたちの防災意識を育てる5つの指導ポイントを説明します。

ポイント1:合言葉「お・か・し・も・ち」を徹底する

避難訓練における基本中の基本であり、全国の小学校で指導されているのが「お・か・し・も・ち」という合言葉です。

  • お:おさない(他の人を押さない)
  • か:かけない(走らない)
  • し:しゃべらない(避難中は静かに)
  • も:もどらない(忘れ物を取りに戻らない)
  • ち:ちかづかない(危険な場所に近づかない)

この合言葉をただ唱えさせるだけでなく、「なぜ押してはいけないのか?」「なぜ戻ってはいけないのか?」という理由を子どもたちに考えさせることがポイントです。

たとえば、「走って転んだら、後ろの人が巻き込まれて将棋倒しになるから」と具体的に説明することで、ルールの重みが変わります。

また、この合言葉は訓練の時だけ言うのではなく、特別教室への移動や全校朝会・集会での並び方の際にも「今のおしゃべりは『し』が守れていないよ」と声をかけるなど、日常生活の中で徹底していくことが大切です。

ポイント2:災害の恐ろしさをきちんと伝える

子どもたちが避難訓練でふざけてしまう原因の多くは、「本当にそんな怖いことが起きるわけがない」という正常性バイアス(自分だけは大丈夫と思い込む心理)にあります。

これを打ち破るためには、先生が災害がどれほど深刻なものか、どんな危険があるのかを真剣に伝えることが不可欠です。

  • 火事が起きたら、火の他に恐ろしいものは何だと思う?」→煙には有毒ガスが多く含まれており、一酸化炭素中毒や窒息など、命にかかわる危険がある。
  • 大きな地震がきたら、窓ガラスはどうなると思う?」→窓ガラスが割れて破片が激しく飛散し、人に当たって大怪我を負うリスクがある。
  • 津波が発生したら、どのくらいのスピードで近づいてくるのだろう?」→陸上でも時速約36km(オリンピックの短距離選手が走る速さとほぼ同じ)で押し寄せてくるため、すぐに逃げないと間に合わない。

こうした具体的でリアルなシミュレーションを通して問いかけることで、子どもたちは「災害は本当に自分の身に起こるかもしれない」と危機感を持つようになります。

ポイント3:実際の災害事例を教材にする

「災害が恐ろしい」という言葉だけではピンとこない子どもには、過去に実際に起きた災害の事例を教材として取り上げるのが非常に効果的です。

事実としての重みが、子どもたちの心にダイレクトに響きます。

たとえば、東日本大震災での津波の映像や写真、あるいは過去に学校で発生した火災のニュース記事などを、事前指導の際にプロジェクターで提示して考えさせます。

5日午後2時45分ごろ、名古屋市北区志賀町2丁目の市立北陵中学校で、「教材室が燃えている」と教員から119番通報があった。部活動などで学校にいた生徒や教員らはグラウンドに避難したが、煙を吸ったとみられる2年生の男子生徒(13)が体調不良を訴え、病院に搬送された。

名古屋市消防局によると、教材室は中学校の北校舎3階にあり、楽器や学校行事で使う木材などが保管されていたという。消防車など約20台が出動し、火は約1時間半後に消し止められた。

このような災害事例を示しながら、「もし自分がこの場所にいたら、どう行動すれば命を守れるだろうか?」と問いかけることにより、子どもたちは自分事として捉えられるようになります。

ポイント4:訓練後にはふり返りを必ず行う

避難訓練が終わって「あー疲れた」で終わらせてしまっては、せっかくの学びが定着しません。

教室に戻った後、熱が冷めないうちに必ずふり返りの時間を設けることが重要です。

  • どこがうまくできたか?
  • すばやく動けたか?
  • しゃべらずに整列できたか?
  • 次はどんなところに気をつけたいか?
  • どうすればもっと早く避難できるか?

さまざまな問いかけをして、子どもたち自身の言葉でふり返らせましょう。

「移動している時に、前の人との間隔が大きく空いてしまった」「素早く机の下にもぐることができた」など、自分の行動を自己評価させることで、次回の訓練への明確な課題が見えてきます。

また、先生からも「今日の移動はとても静かで立派だったよ」「点呼の時の返事が少し遅かったから次は気をつけよう」と、具体的に褒めたり改善点を伝えたりすることで、避難訓練の質は回を重ねるごとに向上していきます。

ポイント5:日頃の整列や歩行を、避難時に活かす

避難訓練の時だけ「静かに並びなさい」「前を向いて歩きなさい」と指導しても、子どもたちは急にはできません。

非常時の行動は、日常の行動の延長線上にしか存在しないからです。

だからこそ、特別教室へ向かう時の移動、全校朝会・集会での整列の仕方、トイレや手洗いの順番待ち、社会科見学など、あらゆる場面での「整列と歩行」の指導が、そのまま命を守るための訓練になります。

整列や歩行命を守るための準備そのもの

「今の静かな移動の仕方は、いざという時の避難に必ず役立つよ」と、日々の指導と防災教育を紐づけて価値付けを行うことで、子どもたちは日々のルールを守る意味をより深く理解し、学級全体が落ち着いた安全な集団へと育っていくのです。

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まとめ

今回は、子どもたちの防災意識を高め、災害時に自ら命を守る行動ができるようになる避難訓練の目的とその流れ、明日から実践できる5つの指導ポイントについて紹介しました。

3つのポイント
  • 避難訓練の本来の目的である「自ら命を守る力(自助)」を育てる視点を、指導の軸に据えること。
  • 合言葉「お・か・し・も・ち」の徹底に加え、災害のリアルな恐ろしさを具体的に伝えて危機感を共有すること。
  • 訓練後のふり返りや日頃の整列指導を、非常時の確実な行動へと結びつけていくこと。

この記事を読んだことで、避難訓練の重要性を子どもたちに納得感をもって語れるようになり、いざという時に落ち着いて行動できる学級づくりが進むと思います。

ぜひ、明日からの事前指導やふり返りの時間にこの記事のポイントを取り入れて、子どもたちと一緒に「かけがえのない命を守る力」を育んでいきましょう!

夢人
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この記事を読んでくださり、ありがとうございました。

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夢人
【経歴】
・19年間小学校で正規教員として勤務
・退職→会社員&ライター&ライトノベル作家

【資格】
・小学校教諭二種免許状(全科)
・中学校教諭一種免許状(社会)
・高等学校教諭一種免許状(地理歴史)
・高等学校教諭一種免許状(公民)
・簿記検定3級

Lucid Dream

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