学習指導案「略案」の書き方!細案との違いや作成・活用のコツ17選
どうも、夢人です。
教育実習や授業準備に追われている中で、「どうやって学習指導案(略案)を書けばいいのか?」「自分の指導力を高めるには、どのように略案を活用すればいいのか?」とお悩みではないでしょうか?
学習指導案(略案)は、教育実習や研究授業などで他者に提示するために作成するものと思われがちですが、効果的に活用すれば授業を改善して指導力を飛躍的に向上させる強力なツールになります。
今回の記事では、学習指導案(略案)に対する意識を「形式的な提出物」から「指導力を高める武器」へと変えるための、作成する4つの目的、書き方の9ステップ、活用する4つのポイントを合わせた17のノウハウをわかりやすく解説します。

この記事は以下のような人におすすめ!
- 作成した略案を実際の授業で最大限に活用したい。
- 略案づくりを通して、自分の授業に自信を持てるようになりたい。
- 略案を書く時間を短縮しつつ、定時退勤したい。
この記事を読めば、略案の具体的な書き方や時短テクニックがわかり、子どもたちを迷わせない愛情ある授業準備ができるようになります!
学習指導案の「略案」と「細案」の違い

学校の先生の世界に足を踏み入れたばかりの頃、一度は略案と細案の違いに戸惑うものです。
細案と略案は役割も特徴も全く異なるため、それぞれを明確に理解する必要があります。
「略案」の役割と特徴
略案とは、授業のイメージを言語化して明確にし、授業改善や向上を図るための自分自身に向けた実践的な計画書のことです。
※ただし、教育実習生は指導教員に、若手の先生は学年主任に略案を見せて、指導や助言をもらうことがあります。
単元観や児童観といった指導の背景部分を省略し、本時の目標や展開、評価など、実際の授業で使う必要最小限の項目に特化して記載します。
A4用紙1枚から見開き程度に収まるコンパクトさが特徴で、通常の授業をテンポ良く回すために活用されます。
授業で何をするべきかがひと目でわかるツールであり、授業の質を担保するために欠かせないものです。

私が勤務していた学校の中には、学校公開で来校された保護者に略案を配布したり、指導主事が学校訪問された際にお渡ししたりしたこともありました。
「細案」の役割と特徴
細案とは、研究授業や公開授業などにおいて、授業改善の視点を他の先生と共有するために作成する詳細な計画書のことです。
単元観、児童観、指導観といった指導の背景から、単元全体の詳細な指導計画、そして本時の展開まで、非常に多くの項目を網羅的に記載します。
指導のねらいや子どもの実態を深く分析するため、文字数も多くなります。
そのため、A4用紙数枚から十数ページに及ぶ長編になることも珍しくありません。
日常の授業ではなく、年に数回の研究授業などでじっくりと時間をかけて書き上げ、自身の指導力を深く磨き上げるために欠かせないものです。
学習指導案の「略案」と「細案」の比較表
略案と細案の違いを、目的、記載項目、分量、使用場面の4つの視点から整理しました。
| 比較項目 | 略 案 | 細 案 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 日々の授業の見通しを持ち、自分自身の授業改善を図る | 授業改善の視点を他者と共有し、協議の資料とする |
| 記載項目 | 本時の目標、展開(導入・展開・終末)、評価など限定的 | 単元観、児童観、指導観、単元計画、本時の展開など網羅的 |
| 分量 | A4用紙1枚(または見開き)に収まるコンパクトさ | A4用紙数枚〜十数枚に及ぶ長編 |
| 使用場面 | 日々の通常の授業(算数や国語などの毎時間の指導など) | 研究授業や公開授業など |
このように比較すると、略案がいかに現場の実用性に特化しているかがお分かりいただけると思います。
毎日すべての授業で細案を書くことは物理的に不可能ですので、まずは略案の書き方や使い方をしっかりとマスターしていきましょう。
学習指導案(略案)を作成する4つの目的

日々の業務に追われていると、略案の作成がただの「提出義務」や「面倒な作業」に思えてしまうのも無理はありません。
しかし、略案には、あなた自身の思考を整理し、目の前の子どもたちを迷わせないための重要な目的があります。
略案を作成する真の目的を理解すれば、「やらされるもの」から「明日の授業を助けてくれる心強い味方」へと確実に変わります。
ここでは、教育実習生や現場の先生が略案を作成すべき4つの目的を解説します。
目的1:学習指導要領に基づく授業のねらいをブレさせないため
授業中、子どもたちの思いがけない発言で話が大きく脱線してしまったり、予期しない行動で流れが変わってしまい、ハッとした経験はありませんか?
子どもたちの自由な発想を取り上げることは素晴らしいですが、その結果「今日、結局何ができるようになればよかったんだっけ?」と本時の目標を見失ってしまっては本末転倒です。
略案を作成する最大の目的は、学習指導要領に基づいた「本時の目標」を先生自身が明確にもち、授業の軸をまっすぐに保つことにあります。
ねらいが明確であれば、どんなに順路であっても必ずゴールへと子どもたちを導くことができます。

教育実習の時に、指導教員から「指導案(略案)通りだったよ」と注意されたことがあって、納得いかなかったよ。

おそらく、指導教員が言いたかったのは「指導案を絶対視せずに事前の仮説として扱い、ねらいをブラさずに目の前の子どもたちの反応に合わせて柔軟に変化させてほしい」というアドバイスだったんだよ、きっと。
目的2:子どものつまずきを予測し適切な支援を準備するため
学級には、一度の説明ですぐに理解して作業を進められる子もいれば、どこから手をつければよいか分からず手が止まってしまう子もいます。
授業中に「分からない」と困っている子を一人でも減らすためには、どこでどのようにつまずくかを事前に予測し、手立てを準備しておくことが何より大切です。
この予測と支援の計画こそが略案であり、目の前の子ども一人ひとりに寄り添う先生の愛情そのものです。
目的3:授業のタイムマネジメントを視覚化しゆとりを生むため
「チャイムが鳴ってしまったけれど、学習のまとめが最後まで終わらない!」「考える時間が足りなくて、子どもたちから不満の声が出てしまった!」というのは、若手の先生が必ず通る悩ましい道です。
時間が押してしまうと、どうしても焦りが生まれ、先生が一方的に説明して終わるという子ども不在の授業になりがちです。
略案にあらかじめ時間配分を記載しておくことで、授業のタイムマネジメントが視覚的に把握できるようになります。
「今は展開に時間をかけすぎているから、少しテンポを上げよう」と、授業中に冷静に軌道修正することができるのです。
目的4:授業後の振り返りを可視化し、次時へ繋げるため
授業は一度きりの点ではなく、単元という線を通して連続していくものです。
その連続する授業をより良いものへと繋ぐには、客観的な振り返りが不可欠になります。
事前に略案として文章化しているからこそ、計画通りに上手くいった部分といかなかった部分を明確に比較できます。
もし事前の記録が何も残っていなければ、感覚的な反省だけで終わってしまい、正確な振り返りはできません。
手元に残った略案をこのように丁寧に分析してこそ、次時のより良い指導構想へと確実につなげていくことができます。
学習指導案(略案)の書き方9ステップ

略案の目的がわかったところで、いよいよ具体的な書き方に入りましょう。
ここでは、パソコンの前に座ってから完成するまでの具体的な手順を、9つのステップに分けて解説します。
この流れに沿って進めれば、誰でも迷わず、短時間で質の高い略案を完成させることができますよ。
自分専用のフォーマットを準備する
略案を書く際、毎回ゼロから表を作ったり、レイアウトを調整したりしていませんか?
それでは、内容を考える前の作業で貴重な時間を消耗してしまいます。
教育委員会や大学から指定された略案の様式がある場合は、それに従って作成する必要があります。
しかし、特に指定がない日常の授業であれば、余白や行数、フォントサイズなどをあらかじめ設定した自分専用のテンプレートを作っておきましょう。
「日時」「単元名」「本時の展開」といった見出し項目も、あらかじめ入力しておきます。
思い立ったときにすぐ中身の執筆に取り掛かれる状態にしておくことが、時短テクニックです。
一番上にタイトルを書く
フォーマットを開いたら、まずは一番上に大きくタイトルを書きましょう。
- 国語・社会・算数・理科・体育・図工・音楽・家庭科など…「◯科学習指導案(略案)」
- 総合的な学習の時間…「総合的な学習の時間 学習指導案(略案)」
- 特別の教科 道徳…「特別の教科 道徳 学習指導案(略案)」
※タイトルの前に「第◯学年」や「第◯学年◯組」と追記されることもあります。
文字のサイズを大きめに設定し、中央揃えにすることで、パッと見て何の指導案なのかが分かりやすくなります。
日時・対象・授業者・場所を書く
授業を実施する日時、対象となる学級、授業者名、実施場所(会場)を正確に記入します。
特に公開授業や授業観察においては、ここでの記載ミスが参観者の混乱に直結してしまうため、細心の注意が必要です。
参観者が迷わずスムーズに目的地へたどり着けるよう、「2階 ◯年◯組教室」「3階 理科室」のように、“階数”も併記しておくと大変親切です。
教材名と区別して単元名を書く
授業が含まれる単元名を記載します。 ここでよくある失敗が、単元名と教材名を混同してしまうことです。
たとえば、国語の物語文「ごんぎつね」は教材名ですが、単元名ではありません。
「気持ちの変化に着目して読み、感想を書こう」というように、指導のねらいを含めたものが単元名となります。
指導書や学校の年間指導計画、教科書会社のホームページにある年間指導計画から、単元名を確認することができます。
単元の目標を書く
単元を通して子どもたちにどのような力を身につけさせたいのか、その目標を記載します。
学習指導要領に基づき、次の3つの柱に沿って設定するのが基本ですが、表記については一文でまとめる場合や、箇条書きで示す場合などが考えられます。
- 知識及び技能
- 思考力、判断力、表現力等
- 学びに向かう力、人間性等
子どもの姿で本時の目標を書く
単元全体の目標を踏まえた上で、今日この1時間の授業で何を達成するのかという「本時の目標」を設定します。
ここでは、たとえば「〜について理解し、自分の言葉で説明することができる」のように、授業後の子どもたちの具体的な姿をイメージして書くことが大切です。
目標が曖昧だと、授業の軸がブレてしまい、子どもたちも何を目指して学習しているのか分からなくなってしまいます。
この目標が、後の「まとめ」や「評価」と直結する重要なゴール地点となります。
本時の展開(導入)を書く
いよいよ略案のメインとなる「本時の展開」ですが、まずは授業の滑り出しである「導入」から書いていきます。
前時の振り返りを行い、子どもたちの「なぜ?」「どうして?」という疑問を引き出して、本時の課題へと繋げます。
本時の課題は、1時間の授業で子どもたちが取り組むべき「学習の軸となるテーマ」となるため、四角の枠で囲って視覚的に目立たせます。
本時の展開の表には、次の項目を設けて具体的に書いていきましょう。
- 学習活動…授業の中で子どもたちが「何を」「どのように」学ぶのかという、具体的な行動の流れのこと。文末は「〜する」「〜を考える」など、子どもの視点で言い切る形にします。
- 指導上の留意点…子どもたちの学習活動を成立させるために、先生が「どのような手立てを打つか」をまとめたもの。文末は「〜させる」「〜する」など、全体指導の視点で記述します。
- 評価(評価規準と評価方法)…本時の目標が達成できたかどうかを判断する「評価規準」と、それをどうやって見取るのかという「評価方法(発言、行動、ノート、ワークシート、テスト、レポートなど)」のことです。文末は、「〜している」「〜しようとしている」「〜できる」など、子どもの状態を表す言葉にします。
- 支援…学習活動の中でつまずいてしまったり、手が止まってしまったりする子どもに対して、どのような手助けをするのかをあらかじめ計画しておくこと。文末は「〜させる」「〜する」など、個別指導の視点で記述します。
※教育委員会や大学から指定されていなければ、◯・●・□・■・△・▲・☆・★・◎など、自分でパッと見て分かりやすい記号を選んで使いましょう。
本時の展開(展開)を書く
導入で設定した課題を解決するために、子どもたちが実際に考え、活動する「展開」の部分を書きます。
ここが授業のメインとなるため、子どもたちの思考を深めるための主発問と、つまずいた子への補助発問を丁寧に準備しておきましょう。
予想される子どもの反応を複数パターン書いておき、それぞれの反応に対してどのような支援を行うかも明確にします。
先生の発問…「T」と表記する。
子どもたちの反応…「C」と表記する。
本時の展開(まとめ)を書く
授業の最後は、本時の目標が達成できたかどうかを確認する「まとめ」の段階です。
子どもたち自身の言葉で、今日わかったことや考えたことを振り返り、ノートにまとめさせます。
先生が一方的に黒板に答えを書いて写させるのではなく、子どもたちの発言を紡ぎ合わせて結論を導き出すようにします。
本時のまとめも課題に対する答えを示す重要な部分ですので、課題と同様に四角の枠で囲ってしっかりと強調します。

この場面では、振り返った内容を発表し合って学級全体で共有したり、練習問題に取り組ませたりすることもあります。
この9つのステップに沿って進めていけば、頭の中が整理されて略案がぐっと書きやすくなります。
まずは基本を押さえつつ、記号などを含めたテンプレートは自分が一番使いやすい形にどんどんアレンジしていきましょう!
学習指導案(略案)を活用する4つのポイント

せっかく時間をかけて略案を書いても、教卓の上に置きっぱなしにしていては宝の持ち腐れです。
略案は、授業中にあなたを導き、授業後には成長の糧となる最高のツールなのです。
ここでは、作成した略案を120%活用するための4つのポイントをお伝えします。
ポイント1:パッと見て手順や手立てを確認する道標にする
授業の全体像は頭に入っていても、子どもたちの予想外の反応に直面すると、次に何をするべきか一瞬頭が真っ白になることがあるかもしれません。
そんな時、手元にある略案があなたを救う心強い道標となります。
すべての言葉を読み込む必要はなく、展開の順番や練り上げた主発問、時間配分の目安をパッと目で見て確認するだけで十分です。
バインダーに挟んで持ち歩いたり、教卓のすぐ見える位置に置いたりして、常に進行状況をチェックできるようにしておきましょう。
少し確認するだけで心がスッと落ち着き、自信を持って子どもたちの前に立つことができます。
ポイント2:赤ペンで修正して生きた記録にする
授業が終わったら、次の時間の準備に取り掛かる前に、略案に赤のボールペンでメモをするようにしましょう。
予定通りにいかなかった部分や、時間が足りなかった箇所、そして何より子どもたちの素晴らしい発言をサッと書き込みます。
このほんの少しの手間が、略案をただの計画書から、次への指導に直結する生きた記録へと進化させるのです。
また、次の時間の導入で、「昨日の〇〇さんのあの発言、先生すごくいいなと思ったんだけど…」という温かい声掛けに繋がります。
子どもは自分の言葉を覚えていてくれる先生に、絶大な信頼を寄せるものです。
ポイント3:先輩の先生からアドバイスをもらうツールにする
授業の進め方や子どもの反応で悩んだら、決して一人で抱え込まないでください。
しかし、「明日の授業をどうすればいいですか?」という漠然とした質問では、先輩の先生も具体的な答えを出しにくいでしょう。
そこで、作成した略案の出番です。 「明日の導入のこの発問で、子どもたちは動くでしょうか?」と、略案を指差しながら具体的に相談してみてください。
目に見える叩き台があることで、先輩の先生も自身の経験に基づいた実践的で的確なアドバイスを格段に出しやすくなります。
ポイント4:自分の癖や改善点を見つめ直す成長の鏡にする
少し時間がある時に、ある程度溜まった複数の略案を見返してみましょう。
「説明の時間が長くなりがちだな」「特定のパターンの発問が多くなっているな」といった、自身の指導技術の癖が見えてくるはずです。
略案は、自分自身を客観的に見つめ直すための、嘘をつかない鏡のような存在です。
このような振り返りの積み重ねが、5年後、10年後の揺るぎない指導力へと繋がっていきます。
書いた略案を振り返る時間を意識して作ることで、先生としての成長が確実に加速していきます。
まとめ
今回は、学習指導案(略案)に対する意識を「形式的な提出物」から「指導力を高める武器」へと変えるための、作成する4つの目的、書き方の9ステップ、活用する4つのポイントを合わせた17のノウハウについて紹介しました。
- 日々の略案は単なる作業ではなく、本時の目標をブレさせず、子どもたちを迷わせないための確かな道標として作成すること。
- 自分専用のフォーマットを用意し、9つのステップに沿って書くことで、準備の時間を短縮しながら質の高い授業計画を立てること。
- 作成した略案は教卓に置いて手立てを確認し、授業後には赤のボールペンで子どもの姿や反省を書き込んで自身の指導力を磨く鏡にすること。
この記事を読んだことで、これまで手間に感じていた略案づくりが、ご自身の指導力を飛躍的に向上させる強力な味方に変わったのではないかと思います。
ぜひ、今回お伝えした略案の作成手順や活用ポイントを、明日の授業準備からさっそく取り入れて、自分のイメージと計画に基づいた魅力的な授業を実現させましょう!



