小学校の係活動とは？意味・ねらいをやさしく解説

どうも、天津です。

学級の子どもたちから「どうして係活動をやる必要があるの？」「当番活動だけで十分じゃないの？」と聞かれた際に、自信を持って答えることができるでしょうか？

たしかに係活動は“無くても学級が回る”と思われがちですが、実は子どもたちの力を引き出し、学級全体の成長を促すという大きな役割があるのです。

今回の記事は、子どもたちが学級で係活動に取り組む意味とねらいをていねいに解説します。

天津夢人

この記事は以下のような人におすすめ！

• 「なぜ係活動をするの？」という疑問に、子どもに伝わる言葉で説明したい
• 係活動がどんな位置づけか知りたい
• 教育実習生や若手教員に対して、係活動のねらいをわかりやすく伝えたい

この記事を読めば、係活動の意味とねらいが明確になり、子どもたちの理解を深めながら、指導に生かすことができるようになります！

係活動って何？

ラズリ

そもそも係活動って何なの？

「係活動って何ですか？」と質問すると、先生によって少しずつ違う答えが返ってくることがあります。

言っている内容の根本は同じでも、使う言葉や説明の仕方に違いがあるため、疑問に思うのも当然のことです。

天津夢人

せっかくなので、係活動の正しい意味としてふさわしい文言を確認してみましょう。

国立教育政策研究所が発行している「文部科学省 国立教育政策研究所 教育課程研究センター 特別活動 小学校編（平成30年7月）」の11ページには、係活動の意味が次のように示されています。

①〜④について解説します。

①学級生活を共に楽しく豊かにするため＝ねらい

これは、【特別活動編】小学校学習指導要領（平成29年告示）解説の71ページにでも示されている「係活動のねらい」に当たる部分です。

「学級生活」とは、授業はもちろん、休み時間、掃除、給食、行事など、学校の中で学級の仲間と一緒に過ごすあらゆる時間のことです。

また、「楽しく豊かにする」とは、ただ「にぎやかにする」や「遊びを増やす」だけではありません。

つまり、一人ひとりのアイデアや行動が、学級のみんなの心を明るくし、居心地のよい学級になるようにするという意味です。

②児童が仕事を見いだす

係活動では、先生から「これをやってね」「あれをやりなさい」と決まった仕事を与えられてから行うものではありません。

子どもたちが自分で必要な仕事ややりたい活動を考え、係として形にしていくことが大切です。

たとえば、「教室の雰囲気がもっと明るくなるように壁に飾りをつけたい」と思った子が「飾り係」を作ったり、「友達の誕生日をお祝いしたい」と考えた子が「誕生日係」を提案したりすることもあります。

つまり、子どもたちが学級の様子を見ながら、「この仕事があると学級がよりよくなる」と考え、自ら行動を起こすことです。

③創意工夫

「創意工夫」とは、アイデアを考えたり、提案したりして、もっとよくなるように工夫することです。

たとえば、「新聞係」が新聞を作るときに、「ただ出来事をまとめるだけ」ではなく、「イラストを入れたらもっと読みやすくなるかな？」「クラスの人気ランキングをのせたら楽しいかも！？」と、意見を出し合いながら改善していく場面が見られます。

決まったやり方に固執するのではなく、「こうすればもっと楽しくなるかも」「こんな方法ならうまくいきそう」と、やり方を変えたり、新しいことを取り入れたりすることを意味します。

④自主的、実践的に取り組む

誰かに言われたから仕方なく取り組むのではなく、子どもたちが「自分でこうしたい」「この学級をもっと楽しくしたい」と考え、自分から進んで行動することが「自主的に取り組む」ということです。

また、「やってみたいな」「こうしたいな」と思い浮かべるだけで終わらせず、同じ係の仲間と話し合って計画を立て、準備をし、実際に活動する。

そして、振り返りを行い、「どうしてよくできたのか？」「どうすればもっとよくなるか？」を考えて改善していく。

このように、計画→実行→振り返り→改善をくり返しながら行動することが、「実践的に取り組む」ということです。

ラズリ

子どもたちから「係活動って何なの？」と質問されたら、どう答えればいいの？

天津夢人

国立教育政策研究所の資料で示された文言は大人向けの表現なので、学級の子どもたちには伝わりにくいでしょう。私なら次のように説明をします。

係活動とは、この学級での生活を、より楽しく、より過ごしやすくするための活動です。みんなが学級会で話し合い、自分がやりたい仕事を決めます。そして、「どうすればうまくできるか？」を考えながら、自分から進んで取り組むことを大切にします。

係活動の意味をさらに深堀りするために、次は小学校学習指導要領の内容を見ていきましょう。

小学校学習指導要領における「係活動」

小学校学習指導要領（平成29年告示）の「第6章　特別活動」の184ページには、係活動について次のように示されています。

ラズリ

当番活動と同じところに係活動についても書かれているね。

天津夢人

係活動というと、「当番活動との違いを明確にしなければならない」ことが強調されがちだけど、実は共通している点もあるんだよ。

①〜③について、係活動の視点で解説します。

①自己の役割を自覚

自分の係の仕事が学級全体にどのように役立っているのかを理解し、責任をもって取り組む姿勢を身につけることが求められます。

たとえば、掲示係なら「学級の雰囲気を明るくする」、レクリエーション係なら「みんなが楽しく交流できる場を作る」など、自分の係の役割を果たすことで、学級全体がより良くなることを実感することが重要です。

こうした実感をもてるようになると、子どもたちは「自分の仕事がみんなのためになっている」と感じ、自己有用感や社会の一員としての自覚が育まれます。

②協働することの意義を理解

自分一人では難しい係の仕事も、学級の仲間と協力することでより良い形にできることを学ぶ機会にもなります。

係活動の中では、「どうすればもっとよくなるかな？」「この仕事はどちらがやるといいかな？」といった問いに対して、お互いの意見を出し合ったり、役割分担を工夫したりする場面がたくさんあります。

このような活動を通して、協働する意義を実感として理解することにつながります。

③社会の一員として役割を果たすために必要となることについて主体的に考えて行動する

社会では、多くの人がそれぞれの役割を担い、自分の仕事を果たしながら、互いに支え合うことで成り立っています。

同じように、学級においても、係活動を通して「何をすれば学級がもっと快適になるか？」「仲間とどのように協力すればよいか？」を自ら考え、行動することが大切です。

また、決められたことを黙々とこなすのではなく、「もっと工夫できることはないか？」「改善できる点はないか？」と考え、積極的に提案し、行動していく姿勢も求められます。

このような経験を通じて、社会の中で自分の役割を果たし、周囲と協力しながら主体的に考え行動する力を身につけることにつながります。

まとめ

今回は、子どもたちが学級で係活動に取り組む意味とねらいについて紹介しました。

この記事を読んだことで、子どもたちに「係活動ってなんでやるの？」「どんな意味があるの？」と聞かれても、自信をもって説明できるようになったと思います。

また、係活動の意味やねらいを正しく理解していると、日々の指導にも大きく生かすことができるでしょう。

先生が全部を決めるのではなく、子どもたち自身が主役になって動くことが、楽しくて心が通い合う学級づくりの土台になります。

今日から、子どもたちと一緒に係活動の質を高めていきましょう！

天津夢人

この記事を読んでくださり、ありがとうございました。

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天津夢人

管理人

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【経歴】
・19年間小学校で正規教員として勤務
・退職→民間企業の正社員
・当サイトで教育情報を発信

【資格】
・小学校教諭二種免許状（全科）
・中学校教諭一種免許状（社会）
・高等学校教諭一種免許状（地理歴史）
・高等学校教諭一種免許状（公民）