パニック症(パニック障害)の症状とは?突然起きる発作の正体
心臓がバクバクして息ができない!これって心臓発作?助けてほしい…。
不安や恐怖が襲ってくるし、様々な不調が出てしまって苦してくたまらない。
パニック症(パニック障害)とは、何の前触れもなく、パニック発作という突然の強い不安や恐怖が身体的・精神的症状として現れ、本人にとって非常に恐ろしい経験になる病気です。
この記事では、「パニック症(パニック障害)の症状」を分かりやすく解説します。
パニック症の理解が深まり、過度な不安を和らげ、冷静に対処することが可能になります。
あなたや身近な人が同じような症状で困っている場合は、ぜひこの記事を参考にして、専門家への相談を検討したり、周囲の人にサポートをお願いしたりしましょう!
パニック症(パニック障害)とは?
突然の強い恐怖や不安が襲い、心身に様々な症状を引き起こす病気です。
この発作は特に「パニック発作」と呼ばれます。
発作の際、心臓が激しく動いたり、息苦しさや窒息感、死への恐怖を感じたりすることが特徴です。
この発作は突発的であり、日常生活の中で特に危険な状況にいなくても起こってしまいます。
心臓が激しく鼓動し、胸が締め付けられるような感覚に襲われ、突然強烈な恐怖感が心身に襲いかかる現象のことです。
また、呼吸が浅くなり、十分な空気が吸えないように感じることもよくあります。
その他の症状として、手足のしびれや震え、発汗、めまい、さらには吐き気を感じることもあります。
発作を経験する人にとっては「これは本当に命の危機ではないか?」「死んでしまうかもしれない」「正気を失ってしまうのではないか」という強い恐怖感が伴います。
この発作は、心臓発作や窒息と誤解されることが多いですが、医療機関で調べても身体的な異常が見つからないことがほとんどです。
また、パニック発作だけでなく以下の症状も現れます。
パニック発作では、強い恐怖または不快感に加えて、以下の身体症状と精神症状のうち4つ以上が突然現れます。
- 胸の痛みまたは不快感
- 窒息感
- めまい、ふらつき、または気が遠くなる
- 死への恐怖
- 正気を失うことや自制を失うことへの恐怖
- 非現実感、違和感、または外界との遊離感
- ほてりまたは悪寒
- 吐き気、腹痛、または下痢
- しびれまたはピリピリ感
- 動悸または頻脈
- 息切れまたは呼吸困難
- 発汗
- 振戦またはふるえ
さらに、パニック発作を引き起こしたことによって、予期不安や広場恐怖、うつ病の併発へとエスカレートするリスクもあります。
パニック症によって精神面に現れる症状
パニック症によって現れる、主な3つの精神的症状について紹介します。
- 死への恐怖
- 正気を失うことや自制を失うことへの恐怖
- 非現実感、違和感、または外界との遊離感
①死への恐怖
死への恐怖とは、パニック発作中に感じる極めて強烈な恐怖感を指します。
この恐怖は、「自分はこのまま死んでしまうのではないか?」という感覚が突然襲い、圧倒されるものです。
心臓発作や重大な病気の兆候に似ているため、本人にとっては非常に現実的で差し迫った危機に感じられます。
②正気を失うことや自制を失うことへの恐怖
正気を失うことや自制を失うことへの恐怖とは、パニック症の発作中に「自分がおかしくなってしまうのではないか?」「心のコントロールが効かなくなり、何か取り返しのつかないことをしてしまうのではないか?」と強く感じる恐怖のことです。
この恐怖は、発作による圧倒的な不安感と混乱した心の状態から生じます。
自分の状態を把握できなくなり、「理性を失う」「自分で自分を止められなくなる」という思い込みが頭を支配します。
③非現実感、違和感、または外界との遊離感
非現実感、違和感、または外界との遊離感とは、自分や周囲の環境が現実ではないように感じる症状を指します。
これらは、現実世界とのつながりが薄れたような感覚で、「夢の中にいるようだ」とか、「自分が自分でない気がする」といった違和感を伴います。
脳が過剰なストレス反応を起こし、外界の刺激を正確に認識できなくなることがあります。
パニック症によって身体面に現れる症状
パニック症によって現れる、主な10の身体的症状について紹介します。
- 胸の痛みまたは不快感
- 窒息感
- めまい、ふらつき、または気が遠くなる
- ほてりまたは悪寒
- 吐き気、腹痛、または下痢
- しびれまたはピリピリ感
- 動悸または頻脈
- 息切れまたは呼吸困難
- 発汗
- 振戦またはふるえ
①胸の痛みまたは不快感
胸の痛みまたは不快感とは、胸周りの筋肉に負担がかかった結果、胸の締め付け感や痛み、不快感が生じることです。
この感覚は、常に緊張状態が続くことで筋肉が硬直したり、浅い呼吸が続くことが原因となる場合が多いです。
この症状は、心臓や肺などの身体的な病気ではなく、ストレスや不安からくる身体反応であることがほとんどです。
②窒息感
窒息感とは、息苦しさを感じる症状を指します。
この感覚は、喉が詰まったように感じたり、十分に深呼吸ができないといった状態を引き起こします。
パニック症の影響で慢性的な不安や緊張が続くことで、体が過剰に敏感になり、このような感覚が生じます。
過呼吸(息を速く浅くする呼吸)や、喉や胸部の筋肉が緊張して硬直していることが主な理由で、実際には酸素が十分に取り込まれていても、空気不足のように感じてしまいます。
③めまい、ふらつき、または気が遠くなる
めまい、ふらつき、または気が遠くなる感覚とは、不安や緊張によって体のバランス感覚が乱れた結果として現れる症状です。
この感覚は、まるで足元が不安定になったり、意識がぼんやりしてしまうように感じられることが特徴です。
これらの症状は、過呼吸や、体内の血流や酸素の分布が一時的に変化することで引き起こされることがあります。
また、不安によって筋肉が緊張し、首や肩のこりが悪化することで、脳への血流が減少し、ふらつきやめまいが生じる場合もあります。
④ほてりまたは悪寒
ほてりまたは悪寒とは、体温の調節が乱れたように感じる症状で、体が突然熱くなったり寒気を感じたりする状態を指します。
これらは、不安や緊張が続くことで自律神経(体の無意識の働きを調節する神経)が過敏になり起こります。
ほてりは、体が緊張に反応して血流が一時的に増加することで起こります。
一方、悪寒は、体がストレスによって「防御反応」を示し、血流が皮膚から内臓に集中するために生じます。
⑤吐き気、腹痛、または下痢
吐き気、腹痛、または下痢とは、不安や緊張が慢性的に続くことで、胃腸が影響を受けて現れる症状を指します。
パニック症では、自律神経が過剰に働き、胃腸の動きが乱れることがあります。
その結果、消化がスムーズに行われなくなり、これらの症状が引き起こされます。
例えば、不安が強いと胃酸が過剰に分泌されて吐き気を感じたり、腸の動きが活発になりすぎて腹痛や下痢を引き起こすことがあります。
⑥しびれまたはピリピリ感
しびれまたはピリピリ感とは、不安やストレスが続くことで、手足や顔などの末端部分に生じる感覚の異常を指します。
この症状は、血流や神経の働きがストレスの影響で一時的に乱れることが原因です。
慢性的な不安状態では、過呼吸によって体内の二酸化炭素のバランスが崩れると、血液の酸素濃度が一時的に上昇し、神経が過敏になります。
その結果、手足や顔にしびれやピリピリとした感覚が現れることがあります。
⑦動悸または頻脈
動悸または頻脈とは、心臓が速く激しく鼓動しているように感じる状態を指します。
この症状は、不安や緊張によって自律神経が過敏になり、心拍数が増加することで起こります。
パニック症では、心臓に異常がないにもかかわらず、ストレスが体に影響を及ぼし、心拍が一時的に速くなることがあります。
特に緊張状態が続く場合や、考えすぎてしまう状況で強く現れることがあります。
⑧息切れまたは呼吸困難
息切れまたは呼吸困難とは、特に運動や負荷がない状況でも、息が浅くなったり十分に吸えないと感じる状態を指します。
この症状は、不安やストレスが自律神経に影響を与え、呼吸パターンが乱れることで起こります。
パニック症では、緊張や慢性的なストレスにより、過呼吸になりやすく、これが息切れ感や呼吸のしづらさを引き起こします。
この状態は、まるで空気が足りないように感じられますが、実際には酸素が体内に取り込まれています。
⑨発汗
発汗とは、特に暑さや運動とは関係なく、不安や緊張が原因で体が汗をかく状態を指します。
この症状は、自律神経が過敏に反応し、ストレスに対する「戦うか逃げるか」の反応が引き起こされることで生じます。
パニック症では、発作がない時でも慢性的な不安が続くことで、手のひらや額、背中などから突然汗をかくことがあります。
この汗は、体がストレスに備えて一時的に体温を調整しようとする自然な反応です。
⑩振戦またはふるえ
振戦またはふるえとは、明らかな寒さや体力消耗がないのに、体が震えるように感じたり、実際に手足や体全体が小刻みに震える状態を指します。
この症状は、不安や緊張が慢性的に続くことで、自律神経が過剰に反応することで起こります。
パニック症では、心がストレスを感じ続けることで、筋肉が緊張しやすくなり、この震えが現れることがあります。
予期不安
「次にいつ発作が起きるのだろう?」という強い不安や恐怖が、日常生活に影響を及ぼす状態のことです。
発作そのものが収まった後でも、「また同じ恐怖を経験するのではないか?」という考えに支配され、何気ない日常の行動すら困難に感じるようになります。
例えば、以前発作が起きた場所や状況に戻ることを避けようとするあまり、外出を控えたり、特定の交通手段を利用できなくなることがあります。
このように予期不安は、発作そのものよりも長く続く場合があり、生活の質を著しく低下させる原因となります。
予期不安の特徴
予期不安の特徴は、発作が実際に起きていない時にも強い恐怖感を抱くことです。
これは、過去の発作の記憶が心に強く刻まれ、脳が危険を予測するように働いてしまうためです。
たとえ客観的には安全な状況であっても、心は「また起きるかもしれない」という警告を送り続けます。
このため、発作が起きる前に体が緊張状態に入り、動悸や息苦しさ、胃の不調などの身体症状が現れることもあります。
これらの症状がさらに不安を増幅させ、予期不安を悪化させるという悪循環に陥ることが多いのです。
広場恐怖
「逃げ場がない」「助けが得られない」と感じる場所や状況を避ける心理的な状態のことです。
広場恐怖は、単なる「怖がり」ではなく、パニック発作や予期不安が繰り返される中で、発作が起きた時の恐怖を思い出し、そのような状況を避けようとする心理的な防御反応として現れます。
その結果、行動範囲が制限され、生活の質が低下することが少なくありません。
電車やバスといった公共交通機関、混雑した場所、閉鎖的な空間、広い公園や橋の上などがその対象となることが多いです。
広場恐怖の特徴
広場恐怖の特徴は、「その場に留まることへの強い恐怖」や、「その場から逃げ出したい」という感覚が、本人の意思を超えて強く現れることです。
例えば、公共交通機関に乗った際に、「もしここで発作が起きたら、逃げられない」「助けを呼べない」と考え、極度の緊張状態に陥ります。
また、広場恐怖を持つ人は、恐怖を避けるために行動を制限するようになり、外出を控えたり、特定の場所に近づかないようにしたりします。
まとめ
今回は、パニック症(パニック障害)の症状について解説しました。
パニック症は突然の発作が特徴で、精神的・身体的に深刻な症状を引き起こします。
発作の予期不安や広場恐怖が生活の質を低下させる場合があります。
パニック症(パニック障害)の症状を知ることで、適切な治療を受けるきっかけを作ることができます。
この記事で紹介した症状に悩んでいる場合は、一人で抱え込まず、信頼できる人や専門家に相談しましょう!