うつ病の治療法とは?治療法の種類を徹底解説
うつ病になってしまったら、どのような治療を受ける必要があるのかしら?
うつ病は、心と体のバランスが崩れ、生活に支障をきたすほどの抑うつ状態が続く病気です。
この記事では、「うつ病の治療法」を分かりやすく解説します。
多くの方が「自分はもうダメだ」と思い込んでしまうかもしれませんが、うつ病は治療が可能な病気であり、正しい知識と行動で回復への道を進むことができます。
うつ病の治療を考えている方は、ぜひこの記事を参考にして、治療法や回復のプロセスを理解し、実際に行動するためのヒントをつかんでください!
うつ病の治療法の種類
うつ病の治療は、回復までに数ヵ月から1年かかることが通例です。
しかし、同じ治療を行っても、全体の20〜30%は長期化して「難治性うつ病(うつ病の遷延化)」となる可能性があると言われています。
患者さんの症状や生活状況、回復度合いに応じて、多角的なアプローチを組み合わせて治療を行っていきます。
うつ病の主な治療法は、主に以下の6つです。
- 問診
- 休養
- 薬物療法
- 精神療法
- 運動療法
- 経頭蓋磁気刺激法(TMS)
それぞれの治療法が異なる役割を果たし、組み合わせることで効果が高まります。
医師との対話から始まる「問診」
医師や専門家が患者の状態を詳しく知るために行う聞き取りのことです。
問診は、治療を始める上で最も重要なステップであり、心や体にどのような問題が起きているのかを正確に把握するためのプロセスです。
例えば、「どんな症状がありますか?」「いつ頃から不調を感じていますか?」といった質問を通じて、患者の状態を詳しく理解し、適切な診断と治療方針が立てられます。
うつ病はレントゲンや血液検査、尿検査といった一般的な身体の検査では直接的に診断することはできず、目に見えないので、本人からの問診を中心に判断していかざるを得ません。
うつ病の診断は、DSM-5(アメリカ精神医学会の「精神障害の診断と統計マニュアル 第5版」)と呼ばれる米国精神医学会の診断基準に基づいて判断されることが一般的です。
うつ病を診断するには、以下のうち5つ以上が同じ2週間の期間中ほぼ毎日認められ、かつそのうちの1つが抑うつ気分または興味もしくは喜びの喪失でなければならない
- ほぼ1日中みられる抑うつ気分
- ほぼ1日中みられる、全てまたはほぼ全ての活動における興味または喜びの著明な減退
- 有意な(5%を超える)体重の増加もしくは減少または食欲の減退もしくは亢進
- 不眠(しばしば睡眠維持障害)または過眠
- 他者により観察される(自己報告ではない)精神運動興奮または制止
- 疲労感または気力減退
- 無価値感または過剰もしくは不適切な罪悪感
- 思考力もしくは集中力の減退または決断困難
- 死もしくは自殺についての反復思考、自殺企図、または自殺を実行するための具体的計画
①ほぼ1日中みられる抑うつ気分
朝から夜まで気分がずっと落ち込んでいる状態を指します。
この状態は、単なる一時的な悲しみや気分の落ち込みとは異なり、持続的で日常生活に大きな支障をきたすのが特徴です。
本人の自覚がない場合もありますが、周囲から「元気がない」「いつも沈んでいる」と指摘されることが多いです。
②ほぼ1日中みられる、全てまたはほぼ全ての活動における興味または喜びの著明な減退
以前は楽しいと感じていたことや好きだった活動に対して、ほとんど興味を持てなくなり、喜びを感じられなくなる状態です。
例えば、趣味、仕事、美味しい食事、家族や友人との会話など、日常的に楽しんでいたことが無意味に思えたり、億劫に感じたりします。
本人は「何をしても楽しくない」「何もやる気が起きない」と感じることが多く、周囲から見ても活気が失われているように映ります。
③有意な(5%を超える)体重の増加もしくは減少または食欲の減退もしくは亢進
短期間で体重が5%以上変化することを指します。
例えば、50kgの人であれば、2.5kg以上の増減が目安です。
この変化は、意図的なダイエットや筋トレではなく、自然な変化として起こるのが特徴です。
さらに、食欲の減退(食べる量が極端に減る)や食欲の亢進(異常に食べ過ぎてしまう)も含まれます。
④不眠(しばしば睡眠維持障害)または過眠
不眠とは、夜に眠りにつけない、または眠り続けることができない状態です。
特に睡眠維持障害は、一度寝ても夜中に何度も目が覚めたり、早朝に目覚めてしまい再び眠れなくなる症状を指します。
過眠は、通常の睡眠時間を超えても眠気が続き、昼間も過剰に眠りたくなる状態です。
不眠や過眠が続くと心身の回復が妨げられ、日常生活に支障をきたすことがあります。
⑤他者により観察される(自己報告ではない)精神運動興奮または制止
精神運動興奮とは、落ち着きがなく動き回ったり、手足を無意味に動かす状態です。
例えば、椅子にじっと座っていられず、そわそわした行動を繰り返すことが挙げられます。
精神運動制止とは、動作が極端に遅くなり、反応が鈍くなる状態を指します。
これらは本人が気づかなくても、周囲の人が「様子がおかしい」と感じることが多い症状です。
⑥疲労感または気力減退
疲労感とは、十分に休んでも体のだるさや疲れが取れない状態を指します。
例えば、軽い作業でも疲れてしまったり、何をしてもエネルギーが湧かない感覚です。
気力減退とは、やる気や意欲が極端に低下し、普段ならこなせる仕事や日常の活動に取り組むことが難しくなる状態です。
これらは心と体のエネルギーが同時に枯渇しているサインでもあります。
⑦無価値感または過剰もしくは不適切な罪悪感
無価値感とは、「自分には何の価値もない」「存在する意味がない」と強く感じてしまう状態です。
これにより、自己否定の感情が深まり、生きる意欲が低下します。
過剰もしくは不適切な罪悪感とは、実際には自分の責任でない出来事についても「自分が悪い」と感じ続ける状態を指します。
例えば、家族や職場の問題をすべて自分のせいだと思い込むなどです。
⑧思考力もしくは集中力の減退または決断困難
思考力の減退とは、普段は簡単に理解できることが頭に入らず、物事を深く考えるのが難しくなる状態です。
例えば、仕事での問題解決や日常的な計算が負担に感じるようになります。
集中力の減退とは、本を読んでも内容が頭に入らなかったり、話を聞いてもすぐに気が散るなど、注意を持続することが困難になります。
さらに、決断困難とは、どちらを選べば良いのか明確な判断ができず、小さな選択でも長時間迷ってしまう状態を指します。
⑨死もしくは自殺についての反復思考、自殺企図、または自殺を実行するための具体的計画
死や自殺についての反復思考とは、「死にたい」「いなくなりたい」といった考えが繰り返し頭に浮かぶ状態を指します。
これは、単なる一時的な感情ではなく、本人にとって深刻で切実なものです。
また、自殺企図とは、自ら命を絶とうと試みる行動を指し、未遂に終わることもあります。
自殺を実行するための具体的計画とは、どのように自殺を遂げるか詳細に計画することで、実行の危険性が非常に高いサインです。
心と体をリセットする「休養」
体や心を休めて元気を取り戻すための時間のことです。例えば、疲れたときにゆっくり横になったり、好きなことをして気分をリフレッシュしたりするのが休養です。
うつ病は心と体のエネルギーが著しく低下する状態であり、患者さんは過度な疲労やストレスにさらされると、症状が悪化することがあります。
特にうつ病の初期段階では、無理に仕事や日常活動を続けることが逆効果となり、症状を悪化させることが多いため、一時的に休職や休学を勧めることがあります。
- 心と体のエネルギー回復
- ストレスの軽減
- 自分を見つめ直す時間
- 休むことへの抵抗を乗り越える
- 社会復帰に向けた準備
①心と体のエネルギー回復
うつ病になると、心も体もエネルギーを大きく消耗してしまいます。
日常の簡単なことでも負担に感じ、休んでも疲れが取れない状態が続くのが特徴です。
そのため、休養はエネルギーを回復するために欠かせない時間です。
ただ寝るだけではなく、心を穏やかに保つ時間を意識的に確保することが重要です。
これにより、脳が本来の機能を取り戻し、思考力や感情のバランスが少しずつ回復していきます。
②ストレスの軽減
うつ病の背景には、仕事や人間関係、家庭の問題など、さまざまなストレスが関与していることが多いです。
休養(休職や休学など)をすることにより、このストレスから一旦距離を置いて、心を守ることができます。
ストレスの原因に直接向き合うことは、エネルギーが十分に回復してからで十分です。
まずは「自分を守る」という視点で環境を見直し、必要ならば職場や家族に支援を求めることも大切です。
③自分を見つめ直す時間
休養中は、自分自身と向き合う貴重な時間でもあります。
うつ病の症状により、自分を責めたり、無価値だと感じている場合もありますが、その感情に押しつぶされず、少しずつ自分の状態を受け入れることが回復への第一歩です。
「何が自分を疲れさせているのか?」「本当はどう生きたいのか?」を見つめ直すことで、新しい視点が得られることがあります。
④休むことへの抵抗を乗り越える
うつ病の人は「休むなんて甘えだ」と感じたり、周囲に迷惑をかけてしまうと考えてしまうことがあります。
しかし、うつ病はれっきとした病気であり、治療には十分な休養が必要です。
この抵抗を乗り越えるためには、まず「休むことは自分を大切にする行動である」と認識することが必要です。
家族や専門家にその思いを打ち明けることで、理解と支援を得られやすくなります。
⑤社会復帰に向けた準備
休養は、社会復帰(復職または復学など)のための準備期間でもあります。
十分にエネルギーが回復した後は、無理をせずに少しずつ活動を再開していくことが大切です。
具体的には、短い散歩や簡単な家事など、負担の少ない行動から始め、体と心がそれに慣れてきたら、徐々に日常のペースに戻していきます。
このプロセスを焦らず進めることで、再びエネルギーを失うことなく、安定した生活を取り戻すことができます。
休みたくても休めない(休みたくない)気持ちは分かります。でも、今は心と体が本当に疲れている状態だから、しっかり休むことが必要なんです。休むことは甘えじゃなくて、治療の一環です。無理をして動き続けると、さらに疲れてしまって回復が遅くなってしまうことがあります。
主治医から処方してもらう「薬物療法」
病気や症状を治したり、楽にしたりするために薬を使う治療のことです。薬には、体の中での働きを助けたり、悪い影響を抑えたりする効果があります。
うつ病の薬物治療は、脳内の神経伝達物質のバランスを整えることで、症状の改善を目指す治療法です。
特に、セロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質がうつ病の発症に関与しているとされています。
[ご注意]うつ病に効くお薬は患者さんによって異なるので、主治医の指示どおりに用量・用法を守って、正しく服用してください。
- SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
- SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
- NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)
- 三環系抗うつ薬
①SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、うつ病や不安障害などの治療に広く使われる薬です。
この薬は、脳内の「セロトニン」という神経伝達物質を増やすことで、気分を安定させ、症状を改善する働きがあります。
セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、感情のコントロールやストレスへの耐性に重要な役割を果たします。
②SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)は、うつ病や不安障害の治療に使われる薬で、セロトニンとノルアドレナリンという2つの神経伝達物質の働きを高めることで効果を発揮します。
セロトニンは「幸せホルモン」として気分を安定させ、ノルアドレナリンはやる気や集中力を高める役割があります。
SNRIはこれら2つを増やすことで、気分の落ち込みだけでなく、意欲の低下や集中力不足といった症状にもアプローチします。
③NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)
NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)は、うつ病の治療に使われる薬で、ノルアドレナリンとセロトニンの働きを調整することで症状を改善します。
NaSSAは、これらの神経伝達物質のバランスを整えるだけでなく、特定の受容体をブロックすることで脳内の神経活動をより効率的に活性化させます。
この仕組みにより、気分の落ち込み、睡眠の質の低下、意欲の低下といった幅広い症状に対応します。
④三環系抗うつ薬
三環系抗うつ薬は、うつ病の治療に用いられる歴史のある薬で、セロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の働きを高めることで、症状を改善します。
「三環系」とは、この薬の化学構造が三つの環状構造を持つことに由来しています。
この薬は、気分の落ち込みや不安感、意欲低下などに幅広く効果を発揮しますが、現在では新しい薬が主流となり、三環系抗うつ薬は慎重に使われています。
FAQ
- 薬物療法にはどのような効果がありますか?
-
うつ病の薬物療法には、気持ちが落ち込むのをやわらげたり、不安な気持ちを減らしたり、やる気を少しずつ取り戻せるようにする効果があります。例えば、薬を飲むことで「気分が少し軽くなった」「寝やすくなった」「朝起きるのが楽になった」と感じる人が多いです。
- 薬を飲んで副作用が出ることがありますか?
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薬が体に影響を与えるために、副作用が起こる場合があります。例えば、体が少しだるく感じる、吐き気がする、口が乾く、眠くなる、頭が痛くなるなどの症状が現れることがあります。これらの副作用は、薬を飲み始めた最初のうちに現れることが多いですが、体が薬に慣れると消えることがほとんどです。ただし、症状が強くてつらい場合や、副作用が長く続く場合は、お医者さんに相談してください。
- 薬を飲んだら、すぐに効果が出ますか?
-
うつ病の薬は、脳の中の働きを調整して気分を良くする手助けをしますが、体が薬に慣れるまでに時間がかかります。多くの場合、薬を飲み始めてから1~2週間くらいで少し効果を感じることができ、3~4週間くらいで「気持ちが軽くなった」と思う人が増えてきます。ただし、人によって効果が出る速さは違うため、時間がもう少しかかる場合もあります。
- 薬に依存性はありますか?
-
うつ病の薬は、気分を安定させたり、不安を減らしたりするために脳の働きを調整する薬ですが、これらの薬を飲み続けても、やめられなくなるような依存性は基本的にありません。依存性というのは、薬をやめるとどうしても欲しくなったり、飲まないと落ち着かなくなることを指しますが、うつ病の薬にはそのような特性はありません。ただし、薬を急にやめると、一時的に気分が悪くなったり、体調が不安定になったりすることがあります。これは依存ではなく、薬が体から抜けるときに起こる自然な反応です。そのため、薬をやめるときは、お医者さんと相談しながら少しずつ量を減らしていくのが安全です。
心を整える「精神療法」
話をすることで心の悩みや不安を解決する治療の方法です。お医者さんやカウンセラーと一緒に、自分の気持ちや考え方を整理し、問題を乗り越える手助けをしてもらいます。
精神療法は、うつ病の症状を引き起こしている心理的な要因に働きかけ、患者さんの考え方や行動を見直すことで、回復を促す様々なアプローチがあります。
- カウンセリング
- 森田療法
- 認知行動療法(CBT)
①カウンセリング
カウンセリングは、専門家との対話を通じて心の健康を改善するための精神療法の一つです。
うつ病の治療において、患者が抱える感情や悩みを共有し、専門家がその気持ちに寄り添いながら、患者自身の考え方や感情のパターンを整理し、新たな視点を見つける手助けをすることを通して、問題解決の糸口を見つけていきます。
また、患者が自分の感情を理解し、受け入れる力を高めるとともに、ストレスへの対処法や前向きな考え方を身につけることを目指します。
例えば、患者が「自分は何をやってもうまくいかない」と感じている場合、その思い込みがどのように形成され、どう変えることができるかを一緒に探ります。
カウンセラーは患者の話を批判せず、あたたかく受け入れるため、患者が安心して自分の気持ちを表現できる場を提供します。
これにより、うつ病の治療が進み、患者が自分自身を取り戻すきっかけとなるのです。
②森田療法
森田療法は、日本の精神科医である森田正馬(もりたまさたけ)が創始した精神療法で、不安障害やうつ病の治療に用いられます。
その基本的な考え方は、「不安や苦しみを無理に消そうとせず、自然な感情として受け入れる」ことにあります。
森田療法では、心の不調を否定したり戦ったりするのではなく、それを「あるがまま」の状態で受け入れることを強調し、自然の流れに身を任せるように生きることで、患者自身が持つ回復力を引き出す治療法です。
不安や恐れは悪いものではなく、むしろ自然な反応と考え、それを抱えながら日常生活に専念することで、症状が少しずつ和らぎ、心の安定が取り戻されるとされています。
例えば、「不安を感じながらも仕事や家事を続ける」「気分が落ち込んでいてもできる範囲で行動する」といった具体的な行動を重視します。
③認知行動療法(CBT)
認知行動療法(CBT:Cognitive Behavioral Therapy)は、「考え方(認知)」と「行動」を見直すことで、感情や気分を改善することを目指す効果的な精神療法です。
認知行動療法では、まず患者が抱えている否定的な考え方(自動思考)を意識することから始めます。
例えば、「自分は何をやってもうまくいかない」という思考がうつ病の原因となっている場合、それを「本当にそうだろうか?」と具体的に検討します。
このように、非現実的な考え方や偏った認識を正していくことで、患者の気持ちが軽くなり、行動を変えるきっかけが生まれます。
また、実際に少しずつできる行動を増やすことで、前向きな変化を実感できるようになります。
動くことで変わる「運動療法」
体を動かすことで心や体の調子を良くする治療方法です。特に、適度な身体活動は脳の機能を改善し、ストレスや不安感を軽減させ、気分の向上をもたらします。
運動療法は特別な運動ではなく、ウォーキング、ヨガ、ストレッチ、軽いジョギングなど、無理なく続けられるものが推奨されます。
特に、自然の中を歩くとリラックス効果が高まり、心が軽くなるとされています。
主治医と相談しながら、自分に合った運動を見つけることが、心と体の健康を取り戻す第一歩となるでしょう。
- 心理的効果
- 身体的効果
- 社会的効果
①心理的効果
運動をすることで、脳内にセロトニンやエンドルフィンといった幸福ホルモンが分泌されます。
これらの物質は、気分を明るくし、不安やストレスを軽減する働きがあります。
さらに、運動を続けることで達成感や自己効力感(自分にはできるという感覚)が高まり、自信がつくことも心理的効果の一つです。
例えば、毎日10分のウォーキングを続けるだけでも、自己評価が向上し、気持ちが前向きになります。
また、体を動かすことで気分転換ができ、ストレスの原因から一時的に離れる時間を作ることができます。
このように、運動療法は心をリフレッシュさせ、精神的な安定を促す強力な手段です。
②身体的効果
運動を行うことで、血液循環が良くなり、脳に十分な酸素や栄養が届くようになります。
これにより、脳機能が活性化し、気分の改善や集中力の向上につながります。
また、運動によって筋肉や骨が強化され、体全体のバランスが良くなるため、疲れにくくなり、日常生活の活動量が自然に増加します。
さらに、運動はストレスホルモンであるコルチゾールを減らし、自律神経を整える効果もあります。
これにより、睡眠の質が向上し、全身のリフレッシュにつながります。
定期的な運動は、体脂肪の減少や心肺機能の向上にも効果的で、結果として体力がつき、健康的な生活を送る基盤が作られます。
③社会的効果
運動を通じて他者とのつながりやコミュニケーションが促進されます。
特に、グループで行う運動やスポーツ活動では、共通の目標や体験を共有することで、仲間意識や連帯感が生まれます。
例えば、ウォーキングクラブやヨガ教室に参加することで、新しい人間関係が築けるだけでなく、孤独感の軽減にもつながります。
さらに、運動を通じて会話や笑顔が増えることで、自然に他者との交流が深まり、ストレスの軽減や気分の改善が期待できます。
また、社会的なつながりは、うつ病や不安症状を軽減する重要な要素です。
運動療法を通じて得られる「誰かと一緒にいる安心感」は、心の健康を支える大きな力となります。
経頭蓋磁気刺激法(TMS)
脳に磁気を使って刺激を与える治療方法です。主にうつ病の治療に使われることがあります。この方法では、特別な機械を頭に当てて、脳の一部に磁気のパルス(短い刺激)を送ります。この刺激によって、うつ病でうまく働いていない脳の部分を活性化させることを目指します。
経頭蓋磁気刺激法(TMS)は、うつ病治療において比較的新しい治療法の一つであり、薬物療法や精神療法が効果を示さなかった場合や薬物の副作用を避けたい患者に対して、有効な選択肢として提供されています。
FAQ
- 経頭蓋磁気刺激法(TMS)にはどのような効果がありますか?
-
うつ病などの症状を軽くする効果があります。うつ病になると、脳の中の一部がうまく働かなくなり、気分が落ち込んだり、やる気が出なくなったりします。TMSでは、磁気を使ってその部分を刺激し、脳の働きを元気にすることを目指します。ただし、TMS治療の効果には個人差があり、全ての方に100%効くと断言できるわけではありません。
- 経頭蓋磁気刺激法(TMS)に副作用はありますか?
-
副作用が出ることはありますが、ほとんどの場合は軽いものです。TMSは頭の外側から磁気を当てる治療なので、体に大きな負担がかかることは少ないです。ただし、人によっては、軽い頭痛や吐き気、顔面の違和感をを感じることがありますが、時間が経つと自然に治ります。ちなみに、治療中、軽い頭皮のチクチク感や、頭部の小さな叩かれる感覚を感じることがありますが、痛みは少ないです。
- 経頭蓋磁気刺激法(TMS)をしたら、すぐに効果が出ますか?
-
すぐに効果が出るわけではなく、少しずつ効いてくることが多いです。TMSは、脳に磁気で刺激を与えることで、うつ病などの症状を和らげますが、脳がその刺激に反応して変化するには時間がかかります。一般的には、治療を何回か受けるうちに徐々に効果を感じるようになることが多いです。
まとめ
今回は、うつ病の治療法について解説しました。
うつ病には自分に合った治療法を選ぶことが重要である。
治療は医師やカウンセラーなどの専門家と一緒に進めることで、安心して取り組める。
治療を継続することで回復への道が開ける。
うつ病の治療法を知ることで、自分の症状や生活スタイルに合った治療法を適切に選びやすくなり、治療効果が高まり、回復が早くなる可能性があります。
また、どのような治療が行われるのかを理解することで、治療に対する安心感が生まれ、前向きに取り組む気持ちが育まれます。
うつ病と向き合い、自信を持って治療に取り組んでいきましょう!