【完全版】学校の雑学22選！元教員が全部教えます

どうも、天津です。

子どもたちから「なぜ教室の窓は左側なの？」「どうして理科室の机は黒いの？」「プールの授業が終わったのに、なんで水を抜かないの？」などと質問され、ふと“ちょっと不思議な学校のこと”に疑問を抱く瞬間があると思います。

実は、そうした当たり前に見える学校の設備やルールには、ちゃんとした理由や歴史、そして子どもたちの安全や学びを守るための工夫がたくさん詰まっているんです。

今回の記事は、知っておくと役に立つ学校の雑学22選を丸ごと全部丁寧に解説します。

天津夢人

この記事は以下のような人におすすめ！

• 学校にまつわる「なんで？」をスッキリ解決したい
• 子どもからの素朴な質問に答えたい
• 会話で盛り上がる“学校ネタ”を増やしたい

この記事を読めば、明日から誰かに話したくなるような“学校の豆知識”がきっと見つかります！

①なぜ小学生はランドセルを使うのか？

ランドセルの起源は江戸時代末期、オランダから輸入された軍用の背負い袋 “ランセル” にまでさかのぼります。

明治時代、学習院初等科 が「子どもたちが自分で通学する」という平等・安全の理念のもと、このランセルを通学かばんに採用し、「ランドセル文化」が誕生しました。

また、当時の皇太子（後の大正天皇）の学習院入学に合わせ、伊藤博文が箱型の通学かばんを贈ったことが、現在のランドセルに近い箱型が誕生するきっかけとなりました。

戦後の合成皮革の普及や軽量化を経て、現在ではカラフルなデザインや安全ベルトなど進化を重ね、ほとんどの小学生にとっての定番になっています。

それでも多くの家庭が選ぶのは、「小学生といえばランドセル」と感じられる文化、そして通学の安全性や“みんなと同じ安心感”があるからでしょう。

②なぜ黒板は黒色ではなく緑色なのか？

教室で毎日使う「黒板」は黒色ではなく緑色なのに、どうして“黒板”と呼ばれているのでしょうか？

黒板は明治時代に本当に黒い板として日本に導入されたことから、その名前が定着しました。

しかし昭和期になると、子どもの学習環境を守るために黒色から緑色へと大きく進化します。

なぜなら、緑色はチョークの文字が読みやすく、目が疲れにくいうえ、光の反射を抑えてどの席からもよく見えるからです。

こうした理由で緑色の黒板が全国に広がり、現在では素材や機能も進化し、高さ調節ができる黒板や電子黒板などへと形を変えつつあります。

③なぜ教室の窓は左側にあるのか？

学校の教室では「黒板に向かって左に窓（右に廊下）」という配置が一般的ですが、その理由は明治時代に文部省が示した学校建築の指針にあります。

日本人の多くが右利きで、左側から自然光が入ることで、右手の影がノートに落ちずに書きやすいよう工夫されたのです。

また、南向きの窓にすることで四季を通して明るい光が入る利点もありました。

一方、図工室や美術室では窓が北側にあることが多いのは、北側の光は影の変化が少なく作品づくりに最適なためです。

教室の窓の位置には、視界の負担を減らし、集中して学べる環境づくりという深い配慮が込められているのです。

④なぜ教室の出入り口が2つあるのか？

学校の教室には、前方と後方の2か所に出入り口があることが一般的です。

この構造には、子どもの命を守るための安全設計と、授業を円滑に進める工夫が詰まっています。

また、入口と出口を分けて一方向の動線をつくれるため、たとえば新年度準備で教室間を行き来しながら机や椅子を運ぶときも、ぶつかることなく移動できます。

⑤なぜ背もたれがない椅子があるのか？

学校の理科室・図工室・家庭科室にある椅子には背もたれがありません。

この“角椅子（かくいす）”には、授業の特性に合わせた明確な理由があります。

理科室では火や薬品など危険なものを扱うため、背もたれがあると避難の妨げになることがあり、すぐに立ち上がれる安全性を最優先して背もたれのない椅子が使われています。

図工室では、ノコギリやドリルを使う際に角椅子を横にして作業台として活用できるほか、背もたれがないことで体が自由に動かせ、制作に集中しやすいという多用途性が重視されています。

家庭科室も火や刃物を扱う授業が多く、背もたれがあると衣服が引っかかったり立ち上がりにくかったりするため、調理や片付けで頻繁に動く子どもたちが安全かつスムーズに動けるよう、角椅子が採用されているのです。

⑥なぜ理科室の机は黒いのか？

学校の理科室にある机の天板が黒いのは、実験中の安全を守るためです。

理科では、白い粉末（食塩・砂糖など）や透明な液体（水・アルコール・薬品）を扱う場面が多くあります。

もし机にこぼれてしまっても、白い机では見えにくく、誤って触れたり事故につながることもありますが、黒い机なら粉や液体がはっきり目立ち、すぐに気づいて対処できるのです。

また、理科室の机は耐熱性・耐薬品性に優れた素材で作られており、火や薬品を使う授業でも安心できるよう設計されています。

近年は白やグレーの実験台も登場していますが、見えやすさと安全性の観点から黒い天板は今も多くの学校で採用されています。

⑦なぜ理科室のカーテンは黒いのか？

教室のカーテンは白や淡い色が多い中、理科室だけは真っ黒な遮光カーテンが使われています。

これは理科の授業で行う多くの実験が「光の調整」を必要とするためです。

顕微鏡観察では、直射日光が反射してしまうと見えづらく、場合によっては目に負担をかけてしまうこともあります。

また、光の屈折・反射の実験や天体観察などは、光をしっかり遮ることで精度が大幅に向上します。

さらに、理科室は火を使うことも多いため、防炎機能のあるカーテンを取り付けて、万が一に備えた安全対策としても重要な役割を果たしています。

⑧なぜ理科室の蛇口にホースがついているのか？

理科室の水道には、高い位置の蛇口に透明なホースがよく付いています。

これはデザインではなく、安全と実験のしやすさを守る大切な工夫です。

理科ではビーカーや試験管などの器具を洗うことが多く、蛇口から直接水を出すと飛び散りやすく危険が伴います。

ホースがあれば水流を細かくコントロールでき、水はねを防ぎながら安全に器具を洗えるのです。

また、うすい塩酸やアンモニア水などの薬品が手に触れた際も、ホースですぐに洗い流せるため事故防止につながります。

さらに、試験管や折れ曲がった器具などへ狙った場所に正確に注げることも重要なポイントです。

特に理科の実験では、水を正確に扱うことが学習のカギになるため、この透明ホースは欠かせない存在なのです。

⑨なぜ窓に赤い逆三角形が貼られているのか？

学校の窓に貼られた赤い逆三角形のシールは「消防隊進入口マーク」という正式名称があり、火災時に消防隊がすばやく救助に入るための目印です。

消防隊進入口マークがある窓は壊れやすく、外側に取っ手が付いているなど、消防隊がすぐに侵入できる構造になっています。

また、赤い反射塗料で夜間でも見つけやすく、命を守る重要な役割があります。

この進入口には、バルコニー付きの「非常用進入口」と、窓だけで基準を満たす「代替進入口」の2種類があり、学校では後者が多く採用されています。

消防隊進入口マークがある窓のまわりに物を置かず、通路を確保しておくようにしましょう。

⑩なぜ非常口マークには2種類あるのか？

学校や公共施設にある非常口マークには、役割の異なる2つの種類があります。

白地に緑の人が描かれたものは「通路誘導灯」で、非常口へ向かう道順を案内するマークです。

一方、緑地に白い人が描かれたものは「避難口誘導灯」で、「ここが出口」と示すゴール地点のサインです。

また、非常口マークが緑色なのは、火災時に炎や煙の中でももっとも視認性が高い色だからです。

緑色は「安心」「進め」という心理的効果もあり、信号機と同じように直感的に避難方向を理解できます。

⑪なぜ非常階段の回り方が同じなのか？

学校やビルにある非常階段は、火災や地震などの緊急時に安全に下りるための階段です。

よく見ると、多くの非常階段が右回りで上り、左回りで下りる構造になっています。

これは人間が無意識に「左へ進むほうが安心できる」という。左回りの法則に基づいた設計がされています。

右利きの人が多く、左に体重をかけると動きやすいことや、心臓が左にあることで安心感を覚えやすいことなどが理由です。

逆に、遊園地のジェットコースターは右回りでスリルを演出している場合が多く、回転方向は心理に大きく影響します。

つまり非常階段は、避難時の安全性と心理的安定を最大限に確保するため、左回りで下りられるように設計されているのです。

⑫なぜチャイムはキンコンカンコンなのか？

学校のチャイム「キーンコーンカーンコーン」は、実はロンドンの時計塔・ビッグベン（正式名：エリザベスタワー）の鐘の音「ウエストミンスターの鐘」が由来です。

戦後の学校で使われていたベルは空襲警報を思い出させてしまうため、1956年に大森第四中学校の井上尚美先生が「前向きな音に変えたい」と提案し、日本で初めて学校チャイムとして採用されました。

その後全国へ広がり、子どもたちに時間を守る力や授業と休み時間の切り替えを促す教育的役割を担うようになりました。

近年では時計を見て自主的に行動する力を育てるため、ノーチャイム制を導入する学校も増えています。

⑬なぜプールの水が一年中入っているのか？

学校のプールには夏以外も水が入ったままですが、これは 火災時の「消防用水（防火水槽）」として利用できるようにするためです。

消防法で定められているため、勝手に水を抜くことはできず、抜く際には消防署への連絡が必要になります。

もし火事が起きたとき、近くに水がなければ消火が遅れてしまうため、学校のプールは地域の命を守る大切な水源なのです。

また、水を抜かずにおくことで、コンクリートやタイルが紫外線や雨風の劣化を受けにくくなり、プールを長持ちさせる効果があります。

つまり、プールの水は「非常用の備え」と「施設保護」の2つの役割を担っているのです。（※冬季に凍結の恐れがある地域は例外あり）

⑭なぜ水泳の授業で水泳帽をかぶるのか？

学校のプールで水泳帽をかぶるのには、安全・衛生・指導のしやすさという3つの重要な理由があります。

まず、水中では顔が見えにくくなりやすいため、目立つ色の水泳帽を着用することで 子どもたちの位置をすぐ確認でき、事故の防止につながります。

また、髪の毛が水に広がるとプールが汚れやすく、フィルター詰まりの原因にも。水泳帽には 水質を清潔に保ち、髪を塩素から守る役割もあります。

さらに、学校では泳力や学年ごとに色分けすることが多く、先生が状況を一目で把握できるため指導の効率が上がる教育的メリットがあります。

実は日本の水泳帽は「フットマーク社」が“おむつカバー”をヒントに開発した歴史を持ち、今では欠かせない安全用品として全国に広がっています。

⑮なぜプールに腰洗い槽があったのか？

学校のプールにかつて設置されていた「腰洗い槽」は、プールに入る前に下半身を消毒して感染症を防ぐための設備でした。

1957年に岐阜県大垣市で「プール熱（アデノウイルス）」が大流行したことをきっかけに、全国へ普及しました。

塩素濃度50〜100mg/Lの強い消毒液に腰まで浸かることで、衛生を保とうという考えに基づいていました。

しかし、効果はシャワーと大差がないことが判明するとともに、皮膚トラブルの報告も増加していきました。

また、現在の学校プールにはろ過装置が整備され、水を循環浄化できるしくみがあり、以前ほどの強い消毒が不要になりました。

2001年の基準改定を機に学校で腰洗い槽は廃止され、今ではシャワーでの洗浄が主流となっています。

⑯なぜプールに目洗い蛇口があったのか？

かつて学校のプールには「目洗い蛇口（洗眼器）」が設置され、授業後に水道水で目を洗うことが習慣になっていました。

これは、塩素や細菌を洗い流し感染症を防ぐためと考えられていたからです。

しかし、2008年の慶應義塾大学の研究により、水道水での洗眼が角膜を傷つける可能性があることが判明し、目を守る粘液層「ムチン」が失われるという課題も明らかになりました。

そのため現在は、ゴーグル着用が最も効果的な目の保護方法とされ、洗眼指導は大きく見直されています。

目に不快感がある場合は、短時間だけ目の周りを流す程度で十分で、防腐剤無添加の人工涙液が推奨されることもあります。

⑰なぜ赤白帽が使われているのか？

学校でおなじみの赤白帽（紅白帽）は、昭和30年代に登場し、裏返すだけで色が変わる便利な帽子として全国に広まりました。

考案したのは落語家の柳家金語楼さんで、戦前から続く「赤組・白組」の文化を引き継いだものです。

赤と白の色分けは、源平合戦で源氏＝白、平家＝赤の旗を掲げた歴史が起源とされ、祝い事にも使われる日本の伝統的な色の組み合わせです。

ただし近年では、赤色が熱を吸収しやすく 熱中症のリスクがあるとの研究もあり、素材やデザインのアップデートが求められています。

⑱なぜ黄色い帽子が使われているのか？

黄色い帽子が学校で使われるようになった背景には、昭和30年代の日本で深刻化した交通事故問題があります。

自家用車の急増により、子どもが事故に巻き込まれるケースが多発していました。

そこで和歌山県警の坂下敏郎さんが、「子どもの命を守るために遠くからでも目立つ帽子を作れないか」と考え、色の見え方を徹底的に研究します。

1万人以上の協力を得て実験した結果、最も視認性が高い色が黄色であることが判明します。

特に体の小さな子どもはドライバーから見えにくく、頭に黄色い帽子を身につけることで視界に入りやすくなるのです。

1960年に和歌山で始まったこの取り組みは全国に広がり、小学校入学時の必需品として定着しました。

⑲なぜ黄色いワッペンを付けるのか？

新1年生に配られる「黄色いワッペン」は、登下校中の子どもを守るために作られた交通安全の目印です。

黄色は遠くからでもよく見えるため、ドライバーや周囲の大人が子どもに気づきやすくなり、事故防止に大きく役立ちます。

きっかけは、交通事故で子どもを亡くしたお母さんが、「子どもたちを守ってください」という思いを込めた手紙を総理大臣に送ったという新聞記事でした。

その記事を読んだ富士銀行（現 株式会社みずほフィナンシャルグループ）の社員が、「小さな子どもたちの命を守るためには、まわりの人に気づいてもらえるような目立つ目印が必要だ」と考え、黄色いワッペンをつけてもらう取り組みが始まったのです。

当初は黄色い腕章でしたが、昭和49年に現在のワッペン型に改良されました。

今では複数企業の協力により、毎年全国の小学1年生へ届けられています。

⑳なぜ教室の天井は高いのか？

教室の天井が高く設計されているのは、明治時代から続く基準に理由があります。

1882年の文部省の方針では「教室の天井は一丈（約3m）以上」と示され、その後も約3メートルが理想とされてきました。

現在も建築基準法で小・中・高校の教室は“天井3メートル以上”と定められており、一般の居室（2.1m以上）より高い基準が適用されています。

空間に余裕が生まれることでリラックスしやすく、集中して学習に取り組める環境づくりにつながるのです。

㉑なぜ天井に変な模様がついているのか？

学校や病院などでよく見かける天井の波模様や点々模様は、実は「トラバーチン模様」と呼ばれるデザインです。

これは大理石の一種であるトラバーチンの質感を再現したもので、自然な凹凸を活かした仕上がりが特徴です。

一見不思議な模様に見えても、そこには学習環境の快適さ支える工夫がしっかり詰まっているのです。

㉒なぜ校長先生が最初に給食を食べるのか？

学校で給食を一番早く食べているのは校長先生ですが、それは「ズルいから」ではなく、子どもたちが食べる前に安全を確認する“検食”という重要な役割を担っているためです。

検食は学校給食法で義務化されており、給食開始の約30分前までに色・におい・味・温度・異物混入・アレルギー対応の正確さなどを細かくチェックし、結果を「検食簿」に記録します。

もし異常が見つかれば、即座に給食を中止し、必要に応じて他校にも連絡される仕組みです。

つまり、校長先生が先に食べるのは特権ではなく、子どもたちの命と健康を守るための大切な安全確認です。

まとめ

今回は知っておくと役に立つ学校の雑学22選を丸ごと全部紹介しました。

この記事を読んだことで、子どもたちとのちょっとした会話や、保護者からの「どうしてこうなってるの？」という質問にも、自信を持って答えられるようになったのではないでしょうか。

学校の雑学は、授業の導入や学級活動、保護者会での話題など、あらゆる場面で“話のタネ”になります。

ぜひ、今回の記事をもとに、子どもたちの問いに寄り添い、学校という場所の魅力や工夫を楽しく伝えていきましょう。

天津夢人

この記事を読んでくださり、ありがとうございました。

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天津夢人

管理人

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【経歴】
・19年間小学校で正規教員として勤務
・退職→民間企業の正社員
・当サイトで教育情報を発信

【資格】
・小学校教諭二種免許状（全科）
・中学校教諭一種免許状（社会）
・高等学校教諭一種免許状（地理歴史）
・高等学校教諭一種免許状（公民）