学級経営

当番活動と係活動の違いは?学級がうまく回る“役割”の考え方

当番活動と係活動の違いは?学級がうまく回る“役割”の考え方
天津夢人

どうも、天津です。

学級づくりに取り組む中で、「なんだか子どもたちが進んで動かない…」「担当を決めたのに何もやってくれない…」とお悩みではないでしょうか?

もしかすると、その原因は「当番活動」と「係活動」の違いをきちんと理解せず、混同してしまっていることにあるかもしれません。

今回の記事は、当番活動と係活動の明確な違いをわかりやすく丁寧に解説します。

天津夢人
天津夢人

この記事は以下のような人におすすめ!

  • 当番活動と係活動を区別し、それぞれの役割に合った形で割り当てたい
  • 当番活動と係活動の違いを、子どもたちが納得できるように分かりやすく説明したい
  • 教育実習生や若手教員から「当番活動と係活動では、仕事内容をどう分ければいいのか?」と聞かれたときに、自信をもって答えられるようになりたい

この記事を読めば、当番活動と係活動の正しい使い分けができるようになり、子どもたちのやる気を引き出す関わり方のヒントを見つけることができます!

結論:当番活動と係活動の違い

当番活動と係活動の違い

結論から言うと、当番活動と係活動の違いは次のように整理できます。

  • 当番活動…学級生活を円滑に運営する活動(MUST=やらなければならない仕事)
  • 係活動…学級生活を楽しく豊かにする活動(WANT=やりたい仕事)
ラズリ
ラズリ

当番活動は創意工夫できない仕事で、係活動は創意工夫できる仕事として区別すると分かりやすい、という考えを聞いたことがあるよ。

天津夢人
天津夢人

そのような意見もありますが、当番活動が「創意工夫できない仕事」だとすると、たとえば掃除当番はどう考えればよいのでしょうか?

実際には、一軒家や店舗、オフィスなどを専門に清掃する業者が存在し、テレビや書籍、インターネットでも掃除を効率よく行う工夫やコツが数多く紹介されています。

また、用途に応じた掃除道具や洗剤の種類も非常に豊富で、「どうすればよりきれいにできるか」「どの順番で行うと効率がよいか」といった点では、掃除にも十分な創意工夫の余地があると言えるでしょう。

こうした現状を踏まえると、掃除当番を含む当番活動は一切創意工夫ができない仕事だと単純に言い切るのは、やや無理があります。

大切なのは、「創意工夫ができるかどうか」ではなく、その活動の目的が学級を円滑に運営すること」なのか、それとも「学級生活をより楽しく豊かにすること」なのかという視点です。

当番活動の特徴

国立教育政策研究所が発行している「文部科学省 国立教育政策研究所 教育課程研究センター 特別活動 小学校編(平成30年7月)」の11ページには、当番活動の意味が次のように示されています。

当番活動

当番活動とは、学級生活が円滑に運営されていくために、学級の仕事を全員で分担し、担当する活動です。

当番活動とは、学級が毎日きちんと動くように支える「やらなければならない仕事」が中心です。

当番活動の種類
  • 日直当番
  • 給食当番
  • 掃除当番
  • 一人一役当番

学級生活では、日々たくさんのことが行われています。朝の会や給食の配膳、掃除、黒板の準備など、どれも「誰かがやらなければ学級が困ってしまう仕事」です。

こうした仕事を、先生ひとりがすべて抱え込むのではなく、子どもたち一人ひとりが「学級の一員」として責任をもって役割を果たすことが求められます。

当番活動の特徴は、次の4つがあります。

  1. 学級の運営を支える
  2. 全員が公平に担当する
  3. 決まったやり方に従って行う
  4. 短期間で交代する

①学級の運営を必要

学級生活が毎日スムーズに運営されるために必要な仕事を行います。

たとえば、日直当番は授業の始まりや終わりのあいさつをしたり、給食当番は給食の配膳や片付けをしたり、掃除当番は教室や廊下などをきれいに掃除したりします。

これらの仕事は、誰かがやらなければ、学級がうまくまわらず、先生や友達が困ってしまうような、学級生活の“土台”を支える役割です。

②全員が公平に担当する

当番活動は、特定の子どもだけが続けて担当するのではなく、基本的には輪番制(順番制)にして公平に取り組みます。

これは、一人に負担が集中しないようにするため、そして、すべての子どもが自分の役割を持ち、「学級の一員」としての責任を経験できるようにするためです。

誰かに任せっきりにせず、みんなで力を合わせて学級を支えていくことの大切さを学ぶ機会にもなります。

③決まったやり方に従って行う

当番活動には、あらかじめ決められた手順やルールがあるものが多いです。

たとえば掃除当番なら、「まずほうきでゴミを集める → 次にぞうきんでふく → 最後に机を整える」など、作業の順番ややり方が具体的に決められていることが一般的です。

このように、やり方を守って取り組む経験も、社会のルールを学ぶ一歩になります。

④短期間で交代する

当番活動の担当期間は、一週間など比較的短いスパンで交代していくことが多いです。

交代する期間の一例
  • 日直当番…一日ごとに1人または2人ずつ交代して担当する
  • 給食当番…一週間ごとに班で役割を分担しながら交代する
  • 掃除当番……一週間ごとに班で担当し、掃除場所や役割を順番に交代します
  • 一人一役当番…一週間ごとに役割を交代する

当番活動では、役割を交代しながらさまざまな仕事を経験することを通して、子どもたちは、自分の担当を最後までやりとげる責任感や、友達と声をかけ合い、協力して取り組む力を自然と身につけていきます。

係活動の特徴

国立教育政策研究所が発行している「文部科学省 国立教育政策研究所 教育課程研究センター 特別活動 小学校編(平成30年7月)」の11ページには、係活動の意味が次のように示されています。

係活動

係活動は、学級生活を共に楽しく豊かにするために児童が仕事を見いだし、創意工夫して自主的、実践的に取り組む活動です。

係活動は「こんなことをやったらクラスがもっと楽しくなるかも!」という気持ちから生まれる、子どもたちの「やりたい仕事」「好きな仕事」「得意な仕事」が中心です。

係活動の種類
  • 学級新聞係
  • 誕生日係
  • レクリエーション係
  • クイズ係 など

係活動は、無くても学級はまわりますが、あると明るく楽しくなり、みんながもっと仲良くなれるという、大切な役割を持っています

係活動の特徴は、次の5つがあります。

  1. 学級をより良くするための創意工夫
  2. 児童が主体的に取り組む
  3. 個人の良さを生かせる
  4. 活動内容や方法を自由にできる
  5. 長期間にわたって継続する

①学級をより良くするための創意工夫

係活動のねらいは、学級の雰囲気を明るくし、子どもたちが仲間と安心して、楽しく過ごせる学級環境をつくることにあります。

毎日の学級生活の中に、ちょっとした笑いや楽しみ、ほっとできる時間が生まれることで、子どもたちは気持ちが安定し、前向きに学習や生活に向かいやすくなります。

こうした環境を支えるためには、教師が用意した仕事をこなすのではなく、子ども自身が「何があればクラスがもっと良くなるか」を考え、自分の発想やアイデアを生かして工夫することが欠かせません。

②児童が主体的に取り組む

係活動は、教師から一方的に与えられた「やらされる仕事」ではありません。

子どもたち自身が、「こういう係があったらいいな」「こんなことをしてみたいな」と考え、自ら進んで取り組む活動です。そのため、係活動では、

  • どんな係をつくるのか?
  • どんな活動内容にするのか?
  • 誰が担当するのか?

といった点について、学級会で子どもたちが意見を出し合いながら決めていきます。

③個人の良さを生かせる

係活動の魅力は、子どもたち一人ひとりの得意なことや好きなことを生かして、学級に貢献できることです。

たとえば、絵を描くのが好きな子は「イラスト係」、文章を書くのが得意な子は「新聞係」、人を楽しませるのが得意な子は「レクリエーション係」など、自分の良さを発揮して活躍できる場となります。

このように、子どもたちの強みが学級の中で認められ、役に立つ経験は、自己肯定感や社会性の育成にも大きな意味をもちます。

④活動内容や方法を自由にできる

係活動では、活動内容や方法を子どもたち自身で自由に考え、実践していくことができます。

たとえば、「なぞなぞ係」が「クイズ大会をやってみたい!」と企画したり、「新聞係」が「みんなの“今週の一言”を集めて載せよう!」とアイデアを出したりすることができます。

このように、決まった型にとらわれず、自分たちで考えて実行に移すことができる活動だからこそ、想像力や企画力が自然と育まれます。

⑤長期間にわたって継続する

係活動は、基本的に学期を通して継続的に行う活動です。

日直当番や給食当番、掃除当番のように日替わりや週替わりで交代するものではなく、一つの係を長い期間担当するからこそ、「計画を立てる→実行する→ふり返る→改善する」という経験を積み重ねることができます。

また、活動が続く中で、「うまくいかなかった」「もっとこうすればよかった」という反省をもとに、次の活動に工夫を加えたり、友達と相談して修正したりする中で、継続力や責任感、仲間と協力する力が育っていきます。

当番活動と係活動を分ける理由

ラズリ
ラズリ

どうして、当番活動と係活動を分けなければならないの?

【特別活動編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説の71ページには、以下のように示されています。

したがって,当番活動と係活動の違いに留意し,教科に関する仕事や教師の仕事の一部を担うような係にならないようにすることが大切である。例えば学級新聞係や誕生日係,レクリエーション係など,学級生活を共に楽しく豊かにするために創意工夫しながら自主的,実践的に取り組むことができる活動を行うようにする。

学級の仕事には当番活動と係活動がありますが、それぞれの役割が混ざらないように区別することが大切です。

天津夢人
天津夢人

なぜなら、指導の視点が変わるからです。

先生の指導の視点は、次の3つがあります。

  1. 指導のねらいが異なる。
  2. 子どもの育成に関わる部分が異なる。
  3. 評価やふり返りの視点が異なる。

①指導のねらいが異なる

当番活動は、学級全体の生活がスムーズに回るように支えるための、言わば「学級の基盤」を整える役割を担う活動です。

黒板をきれいにする、水やプリントを配る、日直として日々の進行を支えるなど、日常的で必要不可欠な仕事を分担して行うことで、責任感やルールの大切さを学びます。

そのため、全員が公平に役割を分担し、与えられた責務を果たしていくことが求められます。

これに対して、係活動「学級をもっと楽しく、もっと豊かにしたい」という思いを起点に、子どもたち自身がアイデアを出し合いながら創り上げていく活動です。

たとえば、新聞係やレクリエーション係など、自分たちの興味や得意なことを生かしながら工夫を凝らし、クラスに笑顔や活気を生み出すことを目的としています。

このように、それぞれの活動がもつ目的や性質が異なるにもかかわらず、同じようなやり方で指導したり、取り組ませたりしてしまうと、やらされ感や不公平感につながってしまうのです。

②子どもの育成に関わる部分が異なる

当番活動は、ある程度決まった役割を着実に遂行することが基本になります。

しかし、係活動では「何をするか」「どうやってやるか」を自分たちで考え、話し合い、実行していくプロセスが重視されます。

つまり、係活動の意義は結果よりも過程にあり、子どもたちが試行錯誤を繰り返しながら、自分たちで学級をより良くしていこうとする「自治的な姿勢」こそが最も大切なのです。

ところが、係活動を当番活動と同じように「割り当てられた仕事」として扱ってしまうと、子どもたちの自由な発想や主体的な意欲がそがれてしまいます。

結果的に「やってもつまらない」「どうせ決まったことをやるだけ」という受け身の態度が生まれ、活動そのものへの関心も次第に薄れてしまうおそれがあります。

③評価やふり返りの視点が異なる

当番活動では、「自分の担当の日にきちんと仕事を果たせたか?」「ミスなく責任を全うできたか?」といった、行動面や継続性に注目してふり返ることが多くなります。

一方で、係活動は「どんなアイデアを出したか?」「クラスにどんな変化や効果をもたらしたか?」といった、子どもたちの創意工夫や実践の質、そして学級への影響に注目する必要があります。

仮にこの視点を混同してしまい、例えば「きちんと毎週同じことをやったかどうか?」だけを基準に係活動を評価してしまえば、アイデアを出して挑戦した子や、仲間と協力して学級に良い変化をもたらした子の努力が見過ごされてしまうことになりかねません。

これは、子どもの学びへのモチベーションを下げてしまう原因にもなります。

【まとめ

今回は、当番活動と係活動の明確な違いについて紹介しました。

当番活動係活動
目的学級生活を円滑に運営するため学級生活を楽しく豊かにするため
内容日直当番、給食当番、掃除当番、一人一役当番など新聞係、誕生日係、レクリエーション係、クイズ係など
決め方学級経営方針や子どもたちの実態に合わせて、先生が決めることが多い学級会などで話し合い、子どもたちで決める
担当者全員が公平に分担する(輪番制)子ども自身で選び、やりたいことや好きなこと、得意なことを生かす
進め方ルールや手順が決まっている子どもたちで計画を立て、工夫しながら自由に取り組む
期間一日あるいは一週間ごとに交代学期で継続する

当番活動と係活動の違い理解しておくことが、子どもたちのやる気を引き出し、学級をうまく回していくためのカギになります。

ただ割り振るだけの「仕事」ではなく、子どもが意味をもって取り組める「活動」に変えていくことが、先生の大切な役割です。

明日からの学級づくりに、ぜひ今日の学びを活かしていきましょう!

天津夢人
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この記事を読んでくださり、ありがとうございました。

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管理人
【経歴】
・19年間小学校で正規教員として勤務
・退職→民間企業の正社員
・当サイトで教育情報を発信

【資格】
・小学校教諭二種免許状(全科)
・中学校教諭一種免許状(社会)
・高等学校教諭一種免許状(地理歴史)
・高等学校教諭一種免許状(公民)
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